ーOOO-飲んで納得、世界一のウイスキー

 
 シングルモルト余市・ブロガーミーティングに行ってきた話の続きです。
 ニッカウヰスキー本社ビル地下1階の、「ブレンダーズ・バー」にお邪魔しているワケなのですが、こういうちゃんとしたバーに行ったのは初めてだったので、非常に緊張しました。
 棚のすみずみまでキチンと整理されていて、棚の奥ではグラスが整然と光り輝いています。
 
 テーブルの上のグラスやおつまみを写真に撮るだけで、とても絵になります。
 
 そういえば、つい先日の「ほぼ日にわか写真部」で、写真家の菅原一剛さんが
「おいしそうに撮るコツはただひとつです。
 それは、おいしそうだなあと思って撮ることです」
と、おっしゃってましたっけ。(→こちらの記事です
 
 これらの写真は、仕事帰りでお腹をへらしながら、もうすぐはじまる試飲イベントを前に「あー、美味しそうだなぁ…」と思いながらアッチコッチを撮ったモノなのです。だからワタシが今見ても「あー、美味しそうだなぁ…」感が写真全体からにじんできている気がしますね。どうでしょう?

いよいよテイスティング

 ニッカウヰスキー-余市蒸溜所の紹介や、ウイスキーブレンダーの仕事についてのお話を拝聴した後、いよいよテイスティングです。
 
 今回テイスティングさせていただいたのは、左から「シングルモルト余市」、「シングルモルト余市12年」、「シングルモルト余市1987」、「シングルモルト余市1987 non-chill filtered」の4種類です。
 色の鮮やかさが違いますね。左の2つはいわば定番。右の2つは限定品で20年熟成なのですが、熟成年月が長いのにむしろ色は柔らかく、鮮やかに感じます。


 まずは左から2つめ、余市12年をテイスティングです。
 ウイスキーテイスティングの基本は、次の通りです。

  • 色を見る
  • 香りを楽しむ
    • 注いだときやグラスを揺らしたときに漂ってくる香りを確認する(ノージング)
  • 口に含む
  • 余韻を楽しむ
    • のどごしや後味(アフター・テイスト)を確認する

 ワタシは先日、サントリーの白州蒸溜所に行ったときに習ったんですが、しかしココでもう一度、テイスティングの仕方をおさらいです。
 なぜなら、このあと世界一のウイスキーを飲むワケなので、そこで失敗はしたくないからです。


 
 まず色を見て、そのあと香りを楽しみます。
 このグラスは飲み口がずいぶんと小ぶりで、飲もうとしたときにグラスのフチと鼻がギリギリの位置に来る程度です。
 しかしこれは、ブレンダーが実際にテイスティングをするときに使うグラスのレプリカのようです。この小さい飲み口が、ウイスキーの香りを逃がさないようになっているのです。
 ふんわりとしていて、華やかな香り。
 ワタシはあまりアレコレ飲んでないので比べるものが少ないのですが、サントリー山崎のウッディな樽の焦げたような甘い香りとか、サントリー白州の森のような、青竹のような香りとは違います。
 舌の上にほんの少しだけ乗せるようにウイスキーを飲むと、ピーンと強いアルコールの刺激が口いっぱいに広がって、そのあとジンワリと、でも強くウイスキーの香りが漂ってきます。
 甘い、花のような香りがします。


 さて、ストレートで飲むのも楽しいのですが、ここで少しずつ水を加えていきます。
 ブレンダーは1:1で割ってテイスティングします。この状態が最もウイスキーの味と香りがわかりやすいのだそうです。
 ここで久光ブレンダーは、
「少しずつ水を加えていくことで、ウイスキーの花が開いていきます。味と香りがどんどんと膨らんでいきますので、その変化をお楽しみください」
と、おっしゃいます。
 
 試してみました。
 水で割った方が飲みやすくなるというよりは、「花が開く」というコトバの方がピンと来ます。確かにその通りで、どんどんとウイスキーは柔らかくなっていきます。
 もちろん、水を入れすぎてはいけません。でも、ウイスキーと水がだいたい1:1から1:4くらいまでの比率の間は、味の変化が楽しめると感じました。
 
 水とウイスキーが入り交じって、ゆらりとした陽炎のようなものがグラスの中に浮かぶのがキレイなので、必死に写真に撮ろうとしましたが大失敗です。

世界一のウイスキーを試す

 さて、いよいよ世界一のウイスキーシングルモルト余市1987」をテイスティングする瞬間がやってきました。
 
 グラスの上に乗せてあった透明なフタを外して、その香りをかいだ瞬間、ワタシのような素人でも「もうコレは美味しいに決まってる!」と感じました。なんかもう香りだけで圧倒されます。
 今回は、最高級のウイスキーの中から世界一を決めるような、シビアなテイスティングではないわけで。
 もう、パッと香りをかいだだけで「スゴい!」と思えます。
 華やかな、ふんわりとした香り。久光ブレンダーが解説を加えます。
「スイートでフローラルな、熟したカカオのような香りがします」
「ピートの香りは薬品臭いというか、クレオソート臭い感じで、あまり強いとスモーキーになってしまうのですが、これをほんのり使うことで味わいに深みがかんじられます」
「余韻の中に干しブドウのような甘みが残ると言いますか」
 そんな、久光ブレンダーのコトバにいちいち「わかる!」とか、「なるほど!」とかうなずきっぱなしのワタシでした。
 目の前に現物があって、ソレをチビチビ飲みながら味に関する解説を聞くと「なるほど!」と思えるのですが、このブログを読んでいてみなさんはどう思うんでしょうか? なるべく自分のコトバで伝えたいなあと思うんですが、この時の自分はとにかく世界一の味にうなりっぱなしでした。
 隣の席に座っている方と、時々話をしながら飲んでいたんですが、
「いや、もう、ふたを開けた瞬間に『こりゃ違うな!』とか『コレはスゴい!』って感じがしますよね。はっきりわかりますよね。」
みたいなコトを興奮しながら語り合ったのを覚えています。
 あまりにも貴重なお酒なので、水で割るのがためらわれたのですが、思い切って少しづつ水を足していったら、コレがまた、ウイスキーの花が開いていくわけです。
 貴重なお酒を水で割る…もったいない!
 でも美味い!
 ソレをさらに水で薄めちゃう…もったいない!
 でも美味い! さらに別な香りが感じられて、どんどんと印象が変わっていきます。


 このあとさらに、「シングルモルト余市1987 non-chill filtered」の試飲が続くのでした。(→続きはこちら