ーOOO-レコメンドの「リアル」と「ウェブ」

 今夜はAMNさんのイベントで渋谷のタワーレコードさんにお邪魔して、「gooラボ ネットの未来プロジェクト」ブロガーミーティング テーマ:レコメンデーションに参加してきました。
 さて、レコメンデーションって何でしょう?
 すごくシンプルに言えば 「オススメ」 ってことなのですが。
 イベントを通して感じたのは、gooラボさんの考える 「ウェブでのレコメンド」 と、タワーレコードさんの考える 「リアルのレコメンド」 は大きく違うと言うことでした。


 ウェブ業界で言われるレコメンドというのは 「機能」 の話になります。

  • 購買履歴をつかったレコメンド
    • amazonの 「おすすめ商品」
  • ある一定期間の情報をもとにしたレコメンド
  • 今見てるコンテンツに関するレコメンド
    • amazonの 「この商品を買ったヒトはこの商品も…」
    • YouTUBEの 「この動画を見た人は…」

 簡単に言って、ユーザーの行動データから傾向を分析する機能といえるでしょう。
 だから 「オススメ」 の話が 「いかにデータを分析して精度を上げるか?」 という話に向かいます。


 タワーレコードさんの考えるレコメンドは、なんだか違う。
 基本的にはバイヤーが 「売りたい」 と思う商品をレコメンドしているそうです。
 ふつうなら1枚か0枚しか仕入れないような商品。でもバイヤーの勘で 「ピン」 とくるものをいっぱい入荷して、店で展開してみる。この 「ピン」 とくる感じを数値でどうこう説明するのは難しい。
 レコメンドした商品には、店員さんが手書きでポップを付けています。ある商品のキャッチコピーはただ一言、「聞け!」。シンプルで押しつけがましいメッセージ。でも自信がある、みたいな感じ。
 バイヤーは、単に個人の好みで商品を仕入れているのか? というと、「違う」。
 じゃあ、お客さんの顔を思い浮かべながら仕入れるのか? それも、「違う」。
 まずはオススメしたいCDありきで、「このCDを聞くヒトの層」の間口をいかに大きく考られるか、客観的に見ることが大事なんだとか。
 で、最終的にどんなCDが売れてもいいのか? と尋ねると「そんなことはない」とタワレコさんは言いました。彼らの心の中には、自分たちがオススメしたい、聞いて欲しい、売れて欲しいCDがあるのです。


 この話を聞いて思ったこと。
 タワレコでは、商品をレコメンドする店員さんの顔が見える。
 それが重なり合って 「タワレコならではのレコメンド」 が見える。
 そしてタワーレコードの店舗それ自体がメディアとなって、情報を発信しているような感じがしました。


 ネットの 「行動から分析するレコメンド」 は、正しいがゆえに退屈でもある。
 「ねえ、このCDまだ買ってないんじゃないの?」
 「ああ、まだコレ持ってないっけ」
ということを気づかせてくれる効果があるが、そこに意外性はない。


 でもタワーレコードのレコメンドは
 「おまえはまだ知らないとおもうけど、コレはおまえが好きそうな曲だぜ!」
 押しつけがましいかわりに、自分が知らなかった世界へ連れて行ってくれるような意外性がある。
 もちろんそのオススメが好みに合わない場合もあるだろう。
 けれど 「タワーレコードのレコメンド」 の世界にハマっちゃうと、その 「意外な発見、意外な出会い」 がすごく気持ちいい。


 自分が知らないモノをオススメされたときに、ふつうはすぐ 「じゃあコレ買おう」 とは思えないハズだ。でもそこで 「タワレコのオススメなら買っちゃおう!」 と思えるのは、タワーレコードという店や店員さんのレコメンドに対する信頼感だ。
 この 「信頼感」 を、ネットのレコメンド機能は未だに持てずにいる。
 そしてその 「信頼感」 は、本当にアルゴリズム的に導き出せるものなんだろうか? そこいらへんが今後の課題になるだろう。


 さて、このほかにもタワーレコードさんの考えるレコメンドについての話はすごく面白かったので、これはあとでまとめたいと思います。(最近宿題がたまってきたなぁ)