ーOOO-「森羅万象がお前のネタだ」…IT戦士ユカタンに聞く執筆術!

 ブログを書いている人にとって、文章術・記事作成術は関心の高い話題です。
 つい先日も、はてなブックマークニュース編集部が作成した「ブログやメールの文章力をアップ! 執筆に役立つページ3つ 」という記事が2000近いブックマークを集めました。文章術に対する関心の高さがうかがえます。
 そんな中、6月19日に開かれたAMNさん主催のブロガー勉強会「Webにおける記事の書き方」に参加してきました。
 ブログを書くときや友達にメールを書くときなど、どんな人でも自分なりの文章の書き方についてスタイルを持っているはずです。そしてもちろんどれが正解ということはありません。
 今回のイベントでは、登壇者の文章の書き方を見るとともに、参加者も各自の記事作成術やちょっとしたTipsを発表することで、多くのスタイルに触れることができました。
 今回の勉強会参加者は初心者だけでなく、上級者やアルファブロガーのような人も多かったです。また、登壇者のみなさんも文章については日々悩んでおられるというお話でした。
 で、今回の登壇者の中でもITmediaの記者「IT戦士」「ユカタン」こと岡田有花さんの話が大変刺激になったので、その部分をまとめます。
 (以下の内容は発言順ではなく、再構成してあります)

面白ければ何でもあり、ただし…

 ITmediaが扱うニュースは「面白ければ何でもあり」がモットーだそうです。
 ただし「それはニュースなのか?」「それを書くことで、社会や日々は良くなるか?」という意識を持って、ニュースを扱っているそうです。
 そんなITmediaに岡田さんが入社以来、元新聞記者だったという上司によく言われたのは

 「森羅万象がお前のネタだ」

 つまり、企業のニュースリリースだけでなく、テレビ、雑誌、2chmixiTwitterといった、日々の生活で目にするモノ全てが「自分のネタ」。
 そして面白いネタに触れたときは常に「これは記事にならないか?」「どういう切り口にすれば他の人が書いていない記事になるか?」という目線で考えるのだそうです。


 そして記事の執筆時には「そのニュースを一言で言えば何なのか?」「何が新しいのか?何がすごいのか?」ということを考えるそうです。
 「何がニュースか?」がわからない記事は、ニュースではないのです。

「読者はヒマじゃない」…そして記者には時間がない

 ほかに、岡田さんが元新聞記者の上司によく言われたのは「読者はヒマじゃない」ということだそうです。


 読者はヒマじゃないから、必要な情報を最低限の字数で伝えることが記者の仕事です。
 プレスリリースなどを元にしたコネタ記事は「5分で書け」と上司に教育されたとか。岡田さんはコネタは1本5分〜30分で書き、1日に5〜10本ほどの記事を書いているのだそうです。
 岡田さんの記事の執筆本数やスピードに驚かされますが、「普通のブロガーと違って1日中を記事作成の時間に充てられるのがプロの記者だから、記事の作成本数は多くて当たり前」と岡田さんはおっしゃいます。
 また普通のブログと違い、ニュース記事ではテンプレに当てはめていけば記事が出来るので、文章の内容や美しさにこだわらなければ執筆時間は超早くなるのだそうです。


 読者はヒマじゃないから、ニュースはなかなか最後まで読んでもらえません。
 だから執筆時は、記事のアタマに最も重要なことを書く「逆三角形の記事」を心がけているのだそうです。
 タイトルの付け方や、記事の書き出しはとても重要です。
 タイトルがマズければ、読者はクリックすることなくスルーしてしまいます。
 タイトルは長すぎても意味がありません。しかし、全く新しい従来になかったような画期的なサービスを説明するためには、どうしても文字数が必要です。
 文章の書き出しは重要ですが、ニュース記事の場合は「○○社が新製品の○○を発表した」といった紋切り型の文章で始まるため、書き出しに苦労することはないと言います。しかし書き出しがつまらなければ、その先の文章を読んでもらえません。
 タイトルや書き出しには困りながらも、困る時間もないので、とにかく毎回苦労しているそうです。

淡々とした長文記事に込められた思い

 もちろん、早く短い文章を書くことだけが岡田さんの仕事ではありません。
 記事の内容がそれだけの文字数を必要とする内容ならば、記事が長くなるのは当然です。紙の雑誌と違い、ウェブのメディアは文章がいくら長くなっても良いのです。
 記事の内容や取材対象によっては1〜3時間かけて記事を書くこともあるし、時には時間のかかるテープ起こしをすることもあるのだそうです。


 しかしこの場合、長い記事を最後まで読んでもらえるかが問題になります。
 もっと短くなるはずの文章なのに、無駄に長くなっていないか?
 戻って読まなければ意味がとれないような、下手な文章になっていないか?
 そういう部分に注意を払います。


 岡田さんが以前ある人のインタビューをしたときに「この人は超スゴい!」と思ったことがあったそうです。
 その時の感動した気持ちを表現するときには、単に文章に「スゴい」と書くだけでは伝わりません。
 このとき岡田さんは、聞いたことを一番感動したものから順に、淡々と記事に書いていったそうです。淡々と書いても、自分と同じフィーリングを持つ読者にはその感動が伝わるはずだ、と岡田さんは言いました。

ワタシが心に受け取ったもの

 ということで、岡田有花さんの発言を再構成して記事にしてみました。
 岡田さんの発言の中から、ワタシは記者としての心構えを受け取りました。特に参考にしたいのは、森羅万象、全てのモノはネタになり得るという「記者としての目線」の部分です。
 「それを書くことで、社会や日々は良くなるか?」
 「どういう切り口にすれば他の人が書いていない記事になるか?」
 それを常に意識し続けることでワタシの「個人的な日記」は、ひょっとしたら「他人に有用な記事」になり得るかもしれない。
 今回こうしてワタシが個人的にまとめたこの記事が、読者のあなたにとって少しでも有用な記事でありますように。


 それから、さまざまな参加者さんがこの日の様子をレポートしています。イベントの細かい部分が知りたい人は、こちらもどうぞ。