ーOOO-「毎日かあさん」

  

 いやはや、なんといっても永瀬正敏の快演/怪演が光りましたな。ヒトコトで言っちゃうと、アル中の父親役。子供たちにはすごくいいお父さんなんだ。だけど飲んじゃうと、あらららら。「いい人」と「壊れた人」の間ですごく振り幅が大きい。
 アルコール依存症のヤバさを感じましたな。とか言いながら、ビール片手に映画を見ていたワタクシですが。さすがにビールが進まなくって、そしたら気が抜けて苦くなって、ますますビールがマズくなっちゃったな…。
 うんざりするような事件と楽しい出来事が、次々おこる。お父さんも子供たちも、毎日ドタバタしてる。一瞬たりとも落ち着かない。
 で、そういうドタバタ部分をこの作品では長めにえがいています。これによって「ダメ男」の日常や愛すべき部分がだんだん伝わってきたところで終盤の展開に入るので、グッと感情移入してしまいました。
 これがたとえば『僕と妻の1778の物語』では、映画の冒頭部分で妻が病気になってしまうので、主人公たちに感情移入しにくいと感じました。それから物語が闘病部分一辺倒だと、見ていて苦しい。明るい希望を感じにくいので、息が抜けない。
 過去の有名どころでは『世界の中心で愛をさけぶ』なんかでも、真ん中あたりまではフツーの恋愛ものだったりしますよね。
 難病ものでは、発病前がいかに幸せだったかという部分と、その後の闘病記の不幸さの落差が大きいほうが良いのでしょうな。
 などと書いていたら、同じく『毎日かあさん』を原作にした『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』という映画では、闘病部分をメインに据えて撮っているみたい。同じ原作でどれくらい違うか見に行きたいなーと思っているワタクシなのでした。でも闘病メインだと、やっぱちょっと重そうだよね…。