ーOOO-街角ゴッドファーザーズ
あれはノラの子ネコを飼うことに決めた直後のこと。
会社方面のみんなは、それはもうドーンと盛り上がる盛り上がる。ほんでもって、ネコを拾ったオイラの株が、ちょっと上がった気がしました。
さて、会社のみんながみんな、最初に気にしたのが、
「子ネコちゃんの名前はどうするの?」
ということでした。
で、コレについては、
- 生後二ヶ月で、3月生まれだったらしい
- メスのネコちゃんである
- ウチは、東京下町の団子屋さんである
以上の点より「さくら」ちゃんというのが、かなり有力で、飼いはじめはワタシも「さくらちゃーん」と呼びかけていたのでした。
しかし、ウチの子ネコちゃんは、黒と茶色が入り交じったサビ柄のネコ。黒っぽいネコに「さくらちゃん」と呼びかけるのはどうも違和感が生じて、うーむ。
「黒と茶色が混ざったようなネコに、さくらって呼びかけるのは、どうもね…」
と、行きつけの接骨院でバキバキされながら話したら、接骨院のセンセイが
「あ、じゃあ、コーヒーが好きなんだから、コーヒーの名前なんかどうですか? モカとか、ラテとか」
おー。それ、いいかも♪
接骨院の他のお客さんも考えてくれて、
「チョコレートとか、ココアとか…」
とか、そんな話をしていたら、女子高生の人が
「あ、そしたらキャラメルフラペチーノとかどうですか?」
接骨院中のみんなが
「長いわ!」
とツッコミました。
夏目漱石の「吾輩は猫である」の吾輩は、たしか最後まで名前が無いまんまじゃなかったっけ?
ということで、「名前はまだ無い」で押し通しちゃうのも面白いかなーと思いました。
あと、「吾輩」って付けちゃうとか。
でも、メスネコに「吾輩」は無いよね。
ということで、「吾輩」の女性版にあたる言い回しを検索したのですが、コレは無いらしいですね。へー。
あえてやるなら、「わらわ」になるらしい。
「わらわはネコである、名前はまだ無い」
ふむ、ちょっと面白い。
もう一歩踏み込んで、JINで見た吉原の花魁っぽい言い回しで、「あちき」というのはどうか。
「あちきはネコでありんす、名前はまだ有りんせん」
お、いいかもいいかも♪
んで、いろんな人がたくさんの意見をくれて、たくさんの名付け親が立候補してくれたのですが。
結局「あん」ちゃんで決定することとしました。
理由は、
- 黒くて茶色い和菓子っぽいモノに決めたかった
- ワタシが和菓子屋のあんこ職人だから
- ブログのタイトルが「あんだんご」だから
- 世界デビューも視野に入れると、「あん」は英語圏でも発音しやすい
ということで、こないだ動物病院に行ったときのこと。
「名前は決めましたか?」
とセンセイが。
あ、『あん』にしようかと
「おー、いいじゃないですか」とセンセイが。
「かわいいですねー」と看護婦さんが。
ちょっと得意げなワタクシ。
「じゃ、『あん』はカタカナですか?」
あ、ひらがな…は、ダサいのかな…?
一瞬逡巡する。
「あ、じゃあ漢字で『杏』ですね?」
え、やっぱり、ひらがなだとダサいかな…?
さらに逡巡して、うなずく。
「じゃあ『杏』ちゃんですね−」とセンセイが。
「かわいいですねー」と看護婦さんが。
ああ。
最後の最後は、動物病院の先生に漢字の名前を付けてもらったワタクシなのでした。