ーOOO-フライング猫アタック

 オイラが夜寝ていると、どこからか
「かちゃ、かちゃ、がさ、ごそ…」
という音がします。
 これは、我が家の子ネコの杏ちゃんさんが、枕元のカーテンにしがみついてよじのぼる音なのです。
 カーテンレールに到達すると、杏ちゃんはそこに腰かけて、外の様子を観察しはじめます。
 ややあって。
 ひらり!
 ゴキッ!
 カーテンレールから飛び降りた杏ちゃんさんは、オイラの顔の上に、まともに直撃!
「痛だだだッ!」
 目が覚めるオレ!
「にゃーん!」
 痛くてビックリして、飛んで逃げる杏ちゃんさん!


 これが最近の夜の日課なのです。おちおち寝てられないんスよ。大変なんスから。もー。


 何度も何度も、ひらり! ゴキッ!
 杏ちゃんさんはちっとも学習しない子です。


 しかし、オイラはついに、学習しました。
 夜中に「かちゃ、かちゃ、がさ、ごそ…」と言う音がしたら、アタマを窓際の枕の上から動かして、ベッドの下の方にカラダをずらし、丸くなって眠り続けることにしたのです。
 ややあって。
 ひらり!
 ボフッ!
 それはもう見事に、杏ちゃんさんは枕の上に着地したのです。


 それ以来。
「かちゃ、かちゃ、がさ、ごそ…」
 ひらり!
 ボフッ!
「かちゃ、かちゃ、がさ、ごそ…」
 ひらり!
 ボフッ!
 その運動は、夜中に絶え間なく繰り返されるようになりました。


 そして、気が付いた。
 どうやらオイラが会社に行っているあいだ、ひとりぼっちで留守番をしている杏ちゃんさんは、このフライング猫アタックをずっとくりかえしているらしい、と言うことを。
 そして、杏ちゃんにとって、枕は心地よい着地スポットらしいのだ。
 だから、夜中にオイラが枕で寝ていることは、杏ちゃんにとって「フライング猫アタックごっこの邪魔!」でしかないらしい、のであった。