ーOOO-ひとつの工夫がたくさんの快適に…花王メリーズ

 
 ということで、グッドデザイン省を受賞した紙おむつ・花王メリーズの秘密や工夫に迫るシリーズの第三回です。
 前回までの記事で「ひとつの工夫がたくさんの快適につながっている」という感じが伝わっているでしょうか?
 前回は、周囲をとりまくギャザー部分がやわらかくなって、同時に通気性が高くなったということ。そして、おむつを外側からとりまく防湿シートの性能について書きました。
 今回も、最新の花王メリーズと以前のメリーズの違いを通して、紙おむつの進化に迫りたいと思います。

*1 ビニールテープからマジックテープへ

 ではその他の工夫も見ていきましょう。
 コレはオムツを押さえて留めるテープのストッパーです。
 以前の製品ではビニールテープが使われていました。

 しかし、最新の製品ではマジックテープが使われています。
 ビニールテープと比べると、何度も貼ってはがすことが可能です。
 また、濡れても留める力が落ちることがありません。

*2 凹凸表面シートの肌触り

 これまではオムツの外側の防湿シート、中身の高分子吸収体、周りの部分のギャザー、ストッパーを見てきました。
 さらに、赤ちゃんの肌に直接さわる表面部分について見ていきましょう。

 上の写真は最初期のメリーズです。表面は平らな紙で覆われていますね。
 最新のメリーズは、見てわかるように丸くプツプツとデコボコしています。


 
 このデコボコがあることで肌触りが良くなり、クッション性が高まりました。
 また、このデコボコによって肌の表面とオムツの間に隙間ができます。赤ちゃんの肌からでる水蒸気は、このデコボコの隙間を通って放出されやすくなっています。
 このデコボコのことを、花王メリーズではエアリーメッシュと呼んでいます。
 紙おむつというモノは、赤ちゃんの肌が蒸れないように細かな工夫が組み合わさっているのだ、ということがわかりますね。

*3 オムツが吸収するのはオシッコだけではない

 さらに、このデコボコ… エアリーメッシュには、さらなる効果がありました。
 赤ちゃんの柔らかウンチを保持する効果です。
 赤ちゃんの柔らかくて水っぽいウンチは、オムツの高分子吸収体では吸収できません。
 このため、やんちゃな赤ちゃんがウンチをしたまま遊んでいると、ウンチがオムツの中でどんどん広がっていきます。時にはおしり全体や、背中までベットリと広がってしまうこともあるのです。
 ちなみに今回の勉強会では様々な実例が写真で紹介されましたがこの記事では割愛します。ねぇ?
 
 最新の花王メリーズでは、エアリーメッシュの膨らんだドーム状の空気層部分が、軟便をため込むような働きをします。また、上から押しても広がりにくくなっています。
 論より証拠、と言うことでワタクシこの手で実験してきましたよ!
 この瓶の中にドローリとしているのが疑似軟便。
 リアルな色じゃなくて良かった…。

 コイツを適量、オムツの上に乗せていきます。

 コレを巨大で重たいゴムローラーでもって、

 ぐぐぐ、

 ぐぐぐいっと!
 まずはコレが従来のオムツの場合の広がりになります。

 ゴムローラー全体に、べっとりと疑似軟便がくっついている所に注目してください。
 ちなみにこのゴムローラー、赤ちゃんのおしりを研究する際に最適なように、直径とか重さとかが設計されているのだとか。

 さて、期待の新製品、エアリーメッシュのメリーズなのですが…

 ぐぐぐぐ、ぐいっと!
 ちなみに手袋をつけているのは、前回書いた防湿シートの蒸れの実験中だから。

 ローラーの表面には、点々と疑似軟便がついています。
 オムツの中のウンチの広がっている部分でも、直接肌に触れることが少ないので、肌に優しいことがわかります。

 さて、ごらんのように従来のメリーズと新製品のメリーズでは、広がり方が1.5倍くらい違うことがわかりました。
 行け! オレ! その効果を肌で試せ!

 ということで直接指で、グニョリ、と。
 あー、うーん、やっぱりシットリしてるな…。
 オムツはオシッコほどにはウンチを吸収してくれないことがわかりました。

*4 ひとつの工夫がたくさんの快適に

 ということで、花王メリーズのあれこれについてレポートしてみました。
 最初の記事で述べたように、紙オムツという商品はユーザーと購入者が異なる商品です。実際のユーザーである赤ちゃんは感想をレポートしてくれるわけではありません。ここが大変難しいところです。
 そこで赤ちゃんが不快にならないように、花王では様々な研究を重ねてきました。
 ここまでのレポートを読んでいただければ、お尻が蒸れないようにするために、細かな工夫を積み重ねていることがわかると思います。
 そしてその工夫は、たとえば

  • お尻が蒸れないようにエアリーメッシュを開発したら、軟便が広がりにくい効果も得られた
  • 身体を締め付けないようにギャザーを工夫したら、通気性も良くなった

というように、一つの工夫がたくさんの快適に結びついていることがわかると思います。
 そしてそれは、偶然ではないと思うんですね。
 高級で特殊な素材を使えば、もっとすごい紙オムツというのも可能なのでしょう。しかし、それは事実上不可能です。紙オムツは使い捨ての大量生産の商品だから、一つの商品に賭けられる手間や工夫、素材は限られてくるのです。
 だから、一つの工夫でいくつもの問題をいっぺんに解決するような、そんな新技術が投入されているのです。
 逆に言うと、表には発表されていない沢山の新技術を研究開発していく中で、いくつもの問題をいっぺんに解決するような新技術を発見したのではないでしょうか。


 こうして細かい技術の組み合わせで快適さを追求した花王メリーズは、グッドデザイン賞をい受賞しました。
 赤ちゃんが快適であることは、健やかな成長に繋がります。赤ちゃんがニコニコ、スヤスヤ眠っていれば、お父さんお母さんも安心です。
 赤ちゃんの笑顔のために作られた花王メリーズは、家族も笑顔にしているのです。

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花王メリーズ「赤ちゃんの肌にやさしいおむつ」勉強会
  1. ーOOO-グッドデザイン賞の紙おむつを見てきた件について
  2. ーOOO-花王メリーズの使い心地を、オレがこの手で確かめる…ッ!
  3. ーOOO-ひとつの工夫がたくさんの快適に…花王メリーズ

*1:ビニールテープからマジックテープへ

*2:凹凸表面シートの肌触り

*3:オムツが吸収するのはオシッコだけではない

*4:ひとつの工夫がたくさんの快適に