夏のワタシの草むしり ーOOO-

せっかくの休日に、
草むしりなんざぁやりたくないわけだが
刻一刻と自然は凶暴な牙をむいて
我が家の周囲が緑に覆い尽くされるので
しかたなく重い腰を上げることにした。
そんなワタシのけだるい午後4時。

ワタシはおおざっぱに草むしりをすませる時は、
目に付く背の高い雑草を引っこ抜いてやる。
チャッチャッとやって、終わり。
これだけで庭のうっとおしさが解消される。

自分でも意外なぐらい
チャッチャッと片づけてしまったことにビックリしながら
「もういっちょ行くかぁ!」
という気分になっちゃったら、
次にソレよりもう一段低い…と言うか、
背の高い雑草を抜いたことで目に付くようになった雑草を
引っこ抜いてやる。
コレはそれなりに時間がかかる。

するとさすがに背の低い雑草しか無くなるワケだけど
マジメに草むしりをやっていると
『草むしりハイ』みたいなモノが訪れて
結構ノリノリで草がむしりたくなる。
ふと振り向けばそこには
いままでむしった雑草が小高い山になっていて
仕事の達成感を感じさせてくれる。

土のにおいや緑のにおいがイヤじゃなくなる。
汗をかいてびしゃびしゃのTシャツの上を
風がなでていき、すうっと涼しくなる。
夏の夕方5時。
日差しは弱くなり、
夕暮れがじわりじわりと時間をかけて迫ってくる。

そしてなんだか
庭一面を覆い尽くす雑草を
すべてむしり尽くしたくなる。
もくもくと草をむしる。
次から次へと雑草がむしり取られ、
土の地面が広がっていくことに喜びを感じる。
この喜びは、収穫の喜び?
いやいや、雑草だから。収穫してないから。
そうして農家のみなさんの収穫の喜びとか
日々の雑草などとの戦いに思いをはせる。

雑草を抜くのを毎週こまめにやれば
こんなに苦労しなくてすむじゃないか。
そうして庭で家庭菜園でもやろう。
トマトとかを植えて、
毎日もぎたて野菜を食べよう。
そんなことを夢想する。

ヒグラシのどこかもの悲しい鳴き声を聞きながら
日が暮れるまで力いっぱい草むしりをする。
きれいになった庭の真ん中には
ひっこぬいた雑草の山。
全身くたくたで、心地よい疲労感。
体を動かした後に飲むビールは
カラダに染み込んでいき、たまらなく美味い。
一風呂浴びてテレビを見ているウチに
心地よい疲れと酔いにまかせて
ことんと眠りに落ちる。



だが翌日は
たいてい筋肉痛。
コシが痛かったりする。
草むしりしたことをはげしく後悔したりして、
一瞬夢見た家庭菜園のことなんざぁ忘れちまうのだった。