ーOOO-写真について考えた話

 んで結局、ワタシが日曜日に見てきたのは、ブルース・ウェーバー展「THE TRUE STORY & GALLERY」
 ワタシ自身はどの写真家であれ、展覧会を見に行くほど写真好きでは無いです。でも先日BRUTUS誌で特集を組んでいたので、それからなんだか気になって。表紙の子犬を抱いてニッコリするオッチャン。なんか好印象。そして「ブルース・ウェーバー全仕事」と題し誌面に並ぶ写真は、見たことないんだけどどこかで見たことあるような。と、思ったらカルバン・クラインやらなんやらの広告写真を撮っているとか。ふーん、トゥルーへの手紙っていう映画も撮るのかぁ、興味あるなー……と、思いながら忘れてた、と。(←おいおい)
 それがこないだの金曜日に、ブルースが「とくダネ!」のインタビューに出演したことがほぼ日のニュースで取り上げられてました

「いろんなものを思った通りに撮ると、
 いろんな世界が開けてくる」

っつーブルースのセリフ、ちょっといいよね。展覧会のことを思い出しついでにますます興味がわいてきたぞっ、と。
 ところでワタシは会場の紀伊国屋跡地がドコにあるかわかんなくて不安だったんですケド、表参道駅をB2出口から出てすぐのトコでした。空き地にドーンと特設会場の白い建物があって、迷わなかったです。
 ペットOKだということもあって、展示会場には犬を連れてくるヒトが多かったです。時々吠えるワンちゃんもいたんですが、ほとんどみんなおとなしかった。30分ほど短編映画の上映があったんだけど、この時もおとなしくしているワンちゃんがいたのでビックリ。上映中なのにドアを開けて覗き込む人間サマのほうがよっぽどマナー悪いってば。
 場内の展示写真では、リバー・フェニックスとか若かりしころのトム・クルーズキアヌ・リーブスの写真があったりして。女の人はキャーキャー言ってました。でも確かにかっこいい。あとフランシス・コッポラが娘のソフィア・コッポラを見つめるときのやさしい目が印象的だった。
 これらの写真、じーっと見ていると情報量が多いんですな。ワタシが覚えてる写真で言うと、クルーザーの上で裸で抱き合う若い男女。でも後ろのほうには寝っころがって退屈そうにタバコを吸っている若い男がいる。この男はなんだってこんなにシラけてるんだろう? なんでこの男女は人前で全然平気なんだろう? 何だろう? 想像力をかきたてられる。
 そして、壁面一面に写真集を一冊丸ごと貼り付けて構成された展示があった。この写真集のタイトルは「THE ANDY BOOK」という。アンディ・ミンスカーというライト級ボクサーをモデルにした作品。順を追いながら、写真集のところどころに挿入されたモノローグを読む。アンディがこちらに親しげに語りかけてくるような、気さくで肩が凝らない話。「オレは女がいなくても困らないが、車がない人生は考えられないんだ」みたいな。写真にもそういう彼の人柄が写しこまれているような感じがする。すごくかっこいい写真なんだけどポーズを決めた写真でなく、スナップ写真みたいな感じ。ページを読み進めるうちに、なんだかワタシがアンディの友達になったような、そんな感じがした。
 写真の力を感じた。時間を切り取って閉じ込めたその一瞬を、ずっと眺めながらいくらでも読むことができる感じ。
 展覧会で上映されていたブルースの短編映画を見て、写真と映画の違いを考えさせられた。この映画は手持ちのカメラをあちこちに振り回すから、見ていて酔っ払う。頭が痛くなる。ワンシーンワンカットのほんの1コマを取り出しても絵になってるんじゃないか、とは思うんだけど。
 いい感じにカッコいいオトコの写真を見て、ワタシはなんとなく寺田克也の描くオトコみたいだなと思いました。すげーホメてるんですけど。ブルース・ウェーバー寺田克也もスゲェって言いたいんですけど伝わってますかね?
 今日はいいもの見たなーと思った。写真を見たんだけど、映画館から出てきたときのような精神の満腹感があった。


 んで、そのあと明石家さんまの舞台を見ようと恵比寿ガーデンプレイスへ。しかし当日券はすでに売り切れていることがわかった。急に時間が宙ぶらりんに。で、たまたま目に入った東京都写真美術館へ入った。写真展を見て写真に興味を持った日に、東京都写真美術館を発見するとは何たる偶然。
 だけどなんだか、芸術は口に合わないのだった。っつーかよくわかんなかった。っつーかつまんなかった。