ーOOO-ドラマの「白夜行」は「罪と罰」っぽくない?

 先日から始まったドラマの白夜行を2話目まで見て、
「あっ、これ、な〜んか『罪と罰』っぽくな〜い?」
とか思った。
 原作と違って、ドラマは「罪と罰」っぽい要素を加味して、いっそう奥深い作品に仕上がってますな、と思った。
 え、何がどうって? うーん。テキトーに思いついちゃうのは簡単だけど、説明するのはめんどくさいですな。
 「間違ってるよおまえ!」 って突っ込まれるのを承知で自分なりに書かせていただくなら。えー、「罪と罰もの」ってーのはですね…

  1. 主人公は頭脳明晰だが世間知らずの若者である
  2. 主題は「殺すに足る憎むべき人間を、殺すべき理由があって殺し、なおかつ自分が犯人であることが露見しなかった時、その罪は許されるのか?」
  3. 主人公はおのれの罪深さの意識から、自らは潔白であるようにふるまいながらも、刑事からは逃れられないような意識がある
  4. 自分の罪を隠すために、ウソにウソを重ねたり、罪を重ねたりせざるを得なくなる

 こんな感じか?
 ドラマの「白夜行」と、こないだ見た「贋作・罪と罰」と、あと映画の「青の炎」と手塚治虫の「罪と罰」の全部に当てはまりそうな要素を引っ張り出しただけなんですが。*1
 さてさて。
 んで、私の考える「罪と罰もの」には主人公と刑事の対決シーンが欠かせない。白夜行では刑事役の武田鉄矢のじっとりしたクセモノっぽい感じと、刑事に追い詰められていく主人公の駆け引きが実におもしろい。でも、原作の中ではこんなに刑事は活躍しなかったはず。っつーかあんなに出てこないし。
 さっき「主人公」と書いたけれど、この白夜行では主人公は二人いる。原作の中では実はこの二人はほとんど文中に登場することがなくて、一体どんな奴らだったのかがはっきりしない。んで、「罪と罰もの」の主人公は「頭脳明晰で世間知らず」だ、とさっき書いたけれど、このドラマでは山田孝之に「世間知らず」の属性を、綾瀬はるかに「頭脳明晰」の属性を与えてある。
 この分けかたが絶妙。山田孝之は実行犯で直接手を汚す役、綾瀬はるかも実行犯なんだけどあくまでもアシスト的で、「直接は手を下していませんよ」と言い抜けられる小賢しさが感じられる。「ははーん、小説のラストシーンはそれでああいう感じなのかなぁ」と思えた。
 原作の白夜行ではただ何となくあちこちで主人公たちが悪いことをやってて、「なんでそんなに悪いことをやり続けなきゃなんないのさ?」という部分にはっきりと答えは示されてなかった*2。この点、おそらく今後のドラマの中では罪を隠すために止むに止まれず罪を重ねていったのだ、というように描かれるのではないだろうか。
 最初の罪から逃れるために、新たな罪を重ねて行く… 一度罪を犯した人間は、「罪」から逃れる事が出来なくなるのだ。
 お、なんか今オレいいこと言いましたか? 言いませんでしたかっ!? え、そうでもない? あ、そう…。
 そうそう、そしてもし「罪と罰もの」であるなら、ラストシーンは「罪を犯した人間の罪がバレなかった場合、その罪は許されるのか?」というテーマに対する「何か」が示されるはずなんだけど、どうなるだろう? 原作の白夜行のラストシーンはあんまりスッキリしなかったんで。で、そのスッキリしなさが「え? それで終わり?」みたいな感じだったんで。ワタシとしてはドラマではなにか、ラストシーンらしいラストシーンを期待したいところです。


 いや、ドラマがどーなるんだか、もちろんわかんないんだけどさ。んで結局、この記事自体にオチはないのです。


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*1:原作の「罪と罰」は読んでないのがバレバレですな。でもワタシ、正直でしょ?

*2:と、思う…強いて言うなら、お金?