ーOOO-オレと使い捨てカイロ

 いつもは愉快な弊社なのだが、ワタシが作業しているあんこの工場は非常に寒い。
 どのくらい寒いかっつーと、だんごの工場の職人さんがコチラの工場にチラッと顔を出すと「いーやぁ、ここは、さっむいねー……」といって絶句するくらい寒い。
 寒い日に寒い寒い工場で仕事をするワタクシは、使い捨てカイロが手放せない。首すじに一個、腰には二個も貼り付けてます。
 んが、この上なく寒い工場で仕事をしていると、使い捨てカイロの暖かさって、ちっとも感じられないんですよね。なんだこのカイロ、ホントにあったまってきてんのかぁ? みたいな。
 寒さのあまり、ぬくもりが感じられないカイロ。かぼそいそのぬくもりに身を寄せあい、カイロとオレはぬくもりを分かち合うようにして、冬の厳しい寒さを互いにしのいでいくのだった。


 で、仕事が終わってその帰り道。
 2月も中盤になると1日がだんだん長くなってきて、最近は夕方になるとかなり明るく感じられる。陽の光の中に暖かさが感じられる。朝はまだまだ寒いんだけど、夕方はけっこう暖かい。んで電車に乗るとちゃんと暖房が効いているし。すごく暖かい。
 暖かい場所に行くと、カイロが急に熱くなりはじめる。
 電車のイスなんかに腰掛けると、腰につけたカイロがグワーッと熱く感じられる。ものすごいアチい。
 あまりの熱さに椅子の背もたれから腰を浮かしたりして。
 でも腰痛だから、腰がツラい。で、背もたれに座る。
 熱い! 腰を浮かせる!!
 腰がツラい! 背もたれ座る!!
 座ったり腰を浮かせたりの永久運動を続けるハメに!
 いくらなんでもアホっぽいので、使い捨てカイロをはがすことにする。でもまだ暖かい。捨てるにはもったいない気がする。ので、使い捨てないでカバンの中にそっとセコくしまったりなんかして。


 その後あれこれ寄り道をして帰る。
 地元の駅で電車を降り、自転車に乗る。
 夜もふけてくると、さすがに真冬の夜風の寒さが身に染みる。おお、寒い寒い!
 「そうだ、カイロが取ってあったっけ」と思って取り出してみると、使い捨てカイロの粘着部分にはよけいなものがゴチャゴチャくっついて、貼りつけるのが困難に。
 しかもカイロは、もはや暖かくなくなっていたのだった。