ーOOO-正しい歯医者の作法について

 ここ三カ月くらい歯医者に長々と通っているワタクシなのですが。
 私の通っている歯医者には、きれいな歯科技工士のおねーさんが揃っているのだった。そういうのって、うれしいっちゃーうれしいのだが、恥ずかしい感じもする。


 んで治療してもらう時に、おねーさんと目があっちゃうと恥ずかしいので、ギュッと固く固ーく目をつぶっているワタシなのだった。
 だけどコレって、「このヒトは歯医者が嫌いなんだなぁ」と思われるのではないか。
 なぜって、ワタシはよく「なるべく歯医者さんに来ないで良いように、日頃のケアが大事ですよ」と、歯磨きの仕方などの指導が入るから。それもセンセイ直々に。
 おねーさんだけでなく、センセイにまで「このヒトはよっぽど歯医者がイヤなんだなぁ…」と思われているのではないか、という気がしてならない。


 ところで、ウチの歯医者さんはけっこう混んでいる。
 だから、予約の時間に行っても診察待ちは当たり前で、いざ診察台に座ってからもセンセイの手がふさがっていたりして、結構待たされる。
 で、たとえば治療中の歯は、次の治療の日までいったん仮の詰め物をするコトがあるじゃないですか?
 センセイは忙しくてなかなか手が離せないので、そーいう詰め物は治療の前に歯科技工士のおねーさんが外してくれることになっているのだった。


 こういう時、っつーか歯の治療中って、舌のやり場に困りませんか?


 特に、右下奥の親知らずなんかを直している時は、ホントにどうしたらいいのか困る。まあ、上あごの歯だったら舌をとりあえず下げておけば良いし、前歯だったら奥に引っ込めておけばいいワケだけど。
 右下奥歯の治療のジャマにならないように、なるべく舌をめいっぱい左側に寄せてみる。舌を引っ込めた方がジャマにならないのか、前に突き出した方がむしろ奥歯側にスキマができるのか?
 試行錯誤しているうちに、舌が疲れてふるふると震えてくる。
 舌の持っていき場に困って、ついうっかり舌が滑っちゃうと、偶然おねーさんの指を「へろん」となめちゃったりして。
 おねーさんはさぞかし「ドキッ」とするだろうが、こっちだってドキッとする。
 口の中にイヤーなツバがドバドバわき上がってきて、もー大変。
「いや違う! 今のは偶然なんですよ! そこんトコわかってくださいよ!」
と、涙目で言い訳をしたくなる。
 が、治療中なので、口を開けっ放しにしたままモガモガと、ワタシは黙っておねーさんのなすがままにされているしかないのだった。