ーOOO-友人、襲来

 日曜日、弊社に友人たちが訪ねてきた。
 ウチの会社のあんだんごとかおでんとかを食べながら「いやー美味しい」とか言っていただけるのは非常にうれしい。
 っていうかウチは草だんごがおいしいから、みたらしだんごはそんなに…、っていうかぶっちゃけウチはだんごそのものは美味くなくって、あんこが売りなのではないのかなぁ、もちろんあんこはオイラが作ってますけど! っていうか、そのあんこだって小豆の収穫時期は去年の秋だから、今頃の季節は皮が堅かったりアクがえぐかったりなんかしたりしてイマイチ美味しくないですよ? とか思いつつ、でもホントに美味しくないなんて言ったらタダじゃおきませんよ! キーッ! 的なオーラを発してみたり、っていうか友人の皆さんはやさしいから美味しいって言ってくれているだけで、そうだよ社交辞令かもしんないよ実は「味はイマイチ」とか思っていたらどうしよう! っていうかそうかも! 絶対そう! ギャー! とかグルグル考えたりした。
 もー、気が気じゃない。


 そのあと
「あのー、工場をちょっとのぞいてみたいんですけど。社会科見学って言うか。 ね?」
と言われたので、ついうっかり「いいよ」と答えてしまった。
 先にちょっとだけ片付けようかと思って工場に戻ってみたら、物が散乱してぐっちゃぐちゃの有り様。仕事が終わる前の、一番モノが散らかっている状態。
 これはいかん… と思って、「やっぱやめましょう」と言いに行ったのだが、なぜか結局、工場に踏み込まれてしまった。
 さすがに全員に「コレが、食べ物を扱う場所なのだろうか…」的な空気が漂う。
 うはー、ハズカシす…。
 とりあえずその場を取り繕って、友人の皆さんにお引き取り願った。


 その後、あーららこーらーらー的な気分に包まれながら仕事。最後に掃除。
 掃除が終わったところで後輩君と話す。
「せめてあと1時間遅く、掃除が終わってから来てもらえれば、違ったんでしょうけど…」
「うーん、そうだよねぇ…」
と言いながら、工場の中をぐるーっと見回して、
「でも、やっぱ汚いって」
「そーですよねぇ…」
「いつもの風景だから『こんなもんだ』になるけど、やっぱ汚いって」
「そーですよねぇ…」
と言って、お互いにため息をついた。


 ああ見えても一応、毎月の保健所の衛生指導は合格しているわけなのだがー。
 うーん。
 テレビのドラマに出て来る厨房はセットなわけだから、機材は最新設備だし、もちろんピカピカと言うか不自然なくらいピカピカなのは当然で、「現実はあーじゃない」とはみんな思ってくれているだろうけれど。
 たとえばウチにテレビ局なんかが取材に来る時は、前日は大掃除で、当日は必要ない機材を全部倉庫の中に移動して隠してしまって、直前に白衣を着替えたりして、万全の態勢で望む。
 そしてテレビ局のヒトは、あきらかにボロッちい棚だとか壁だとかは映さないように配慮してくださる。第一、風景写真を撮りに来たワケではないから、人物や商品や手元のクローズアップを撮る。背景のタイルのひび割れにはピントがあわない。
 結果、非常にきれいな厨房がテレビに映る。
 どこでもそうなんじゃないかなー、料理に限らず。ドキュメンタリー的な映像でも。
 「それはヤラセだ」という話じゃなくて、たとえば「あなたの家に、来週テレビが取材に行きます」と言われたら、あなたならどうする? やっぱ、ちょっとは片付けるでしょー?
 ん、でも番組の内容とかにもよるかな…。
 っていうかふだんからきれいなら、そんなことしないな…。
 っていうか全部言い訳なので、やっぱ今までの話は無しで。


 ウチの工場は汚くて、まあ、あんなもんですよ。
 はっはっはぁ。どーだまいったか。
 んでその日の夕方は「あー、すげー恥ずかしいー。失敗したー」的な気分が高まっちゃったので、焼き肉食って、ビール飲んで、映画みて、帰ってから気絶するように寝たのだった。

追記

 恥ずかしかったなーの話でいっぱいになっちゃってますが。みなさんお越しいただいてありがとうございました。喜んでいただけたらよいんですがどーでしょーかダメでしょーか。
 えーと。
 へどもどしてますが。書いてるウチに気持ちがループしちゃうんですが(←小心者)
 とにかく、どーもありがとうございました。