ーOOO-海ほたるの双眼鏡には気をつけて!
横浜アリーナから車をぶっ飛ばして帰る時のこと。
まだ朝早かったので高速が混んでなくて、すいすい行けちゃう。身体の疲れもほどほど。
そこで目に入ったのが「アクアライン」の看板。
そーいえばオレ、海ほたる行ったことないんだけど… と言ったら友人が「あー、オレは仕事でアクアラインを通ったことはあるけど、そういえば海ほたるに行ったことは無かったわー」
車は進路を変え、ものすごく殺風景なアクアラインのトンネルをくぐって海ほたるへと向かった。
夜の闇の中、漆黒の海のど真ん中に浮かぶ海ほたる。
黒々とした夜の海と空の境目に、すうーっと光の帯が見える。街の灯りだ。
お客さんはほぼ皆無で、静か。ただ波の音だけが響く。
ふとそこで、双眼鏡が目に止まった。100円入れるヤツ。
んでなんとなく100円入れて、覗いてみた。
…真っ暗だ。
ぐるーっと動かしてみたけれど、真っ暗。
コレ、壊れてんのかなぁ? と言ったら、友人が覗いてあちこち動かして「いや、壊れてないよ」と言った。
見れば、大きく見える海ほたる。そしてそこにつながるアクアラインの橋。
「そこからずーっと動かしていけばいいんじゃね?」
んで、ずーっと双眼鏡を上に動かす。水平線というか地平線にぶつかったら、そこから双眼鏡を横に動かす。ちょっとでも上下にぶれると空か海の闇しか見えなくなるので、慎重に水平に動かさなければならず、一苦労だ。
なにしろ海ほたるは海のど真ん中で、陸地まで10キロ以上ある。だからどんなに大きな建物も相当小さく見えて、光の帯のように細く見える陸地を双眼鏡で追っていくのはかなり大変。悪戦苦闘しているうちに、ガチャンと双眼鏡は見えなくなった。
東京タワーとかの展望台だと、辺り一面光の海だから、双眼鏡でてきとうにあちこち覗いても結構楽しいはずだけど、そーいうのとは全然違う。
「いかに海ほたるが陸地から離れているか」と言うことを知るために、100円払ったようなものだった。