ーOOO-呪いの占い

 結婚することになった友達と友達の彼女の話の続き。
 お正月に友達の彼女は「占い師さんに占ってもらおうよ」と言った。
 友達の彼女は細木うんちゃらとか江原かんちゃらの番組が大好きで。占いとか血液型性格診断とかを疑う事なく、どっぷりハマっているのだとか。


 実は彼女はバツイチで。以前のダンナさんと結婚する前にも、占い師に占ってもらったことがあったのだという。
 その時、よく当たると評判の占い師に「この結婚は不幸な結果に終わる」とか「あなたは男を幸せにしないタイプ」とか「あなたは男の命を吸って生きていくタイプ」とか、さんざんひどいことを言われたらしい。
 もう占いなんだか呪いの言葉なんだかよくわからない。
 そして実際、結婚した1年後にダンナさんはガンになり、その2年後に逝ってしまったのだという。
 当たればいいってもんじゃない。ひどい話だ。


 しかしそのことを彼女はずっと気に病んでいて、占い師の言葉が頭から離れなくなって、それでますます占いにのめり込んでる部分があるなぁと、友達は見て取った。
 彼女に「占いを信じるな」と言っても無理な話だ。
 そこで、友達は一緒に占いについて行くことにした。
 そして彼女に
「占い師に質問されたら『はい、いいえ』で簡潔に答えて、なるべく余計なことを言わないようにしたほうがいいよ」
とアドバイスした。
 友達はコールド・リーディングとかホット・リーディングについて、ちょっとした知識があった。


 で、こないだのお正月。以前と同じ占いの店。
 占い師が何人もいるが、お客さんもずいぶん並んでいる。一組あたり30分くらいかけて占いをしていた。
 で、友達とその彼女の番が来た。
 占いオババの質問に、彼女が『はい、いいえ』と必要なことだけ手短に答えるようにしていたら、占いオババは5分くらいで話すことがなくなっちゃったように見えた、と友達はいう。
 ほかのカップルは30分くらいかけて占っているのに、俺達だけ5分で終わりにするつもりなのか? どうするんだろう? と思いながら友達が黙って見ていたら、占いオババは突然、後ろからお弁当を取り出して来て
「お正月は忙しいから、お昼ごはんを食べるヒマも無いのよね。食べながら続けて話してもいい?」
と言った。
 そして、占いオババは身の上話をはじめた。オババのダンナさんの稼ぎが悪いみたいな話とか。オババのダンナさんは星で言うところの6白うんちゃらだから甲斐性がないとか。ついでに「あんたも6白うんちゃらだから、ウチのダンナと同じで甲斐性なしね」とか友達に言った。
 弁当を食べおわった所で、グダグダな占いは終わった。


 友達いわく「以前の『呪いの占い』を解くにはパワーが足りないかもしれないけれど、占いなんてこんなもんだよ、みたいな所が見せられればそれで良かった」ということなので、このグダグダな占いはそういう意味では成功だったと思うんだけど、友達の彼女的にはどーだったんだろ。


 それはそれとして、占い師は占いの中でみだりに不幸をかき立てるのはよくないし、悪いことを占ったなら解決法なり対策なりも占ってあげないとよくない、と思った。
 占いの言葉に傷ついたり苦しんだり、ずっと引きずってしまうヒトがいるのだということを分かっていただきたい、と思った。
 全国の占い師の皆さんは、そーいうことでひとつよろしくお願いしたい。