ーOOO-祝い酒

 マブダチであり飲み友達であるところの中学時代の友達からお呼びがかかったので、飲むことにしてみれば。
 友人はこのたびめでたく結婚するとのこと。
 おお。おめでとさんですー。
 友人を祝う気持ちもありつつ、自分のケツに火のついたような気持ちもありつつ。
「いやあ、結婚するのはなんかうれしいんだけど、でもなんか家にまっすぐ帰るのもなんかイヤ、みたいな。こんな話をするとオマエは『えっ、結婚する前からそんなことでどうすんのさ』と思うかも知んないけど。そりゃあ幸せだし家に帰れば楽しいしくつろげるんだけど、でもなんか緊張するって言うか、なぁ?」
みたいな話を友人はするのだが、独身であるところの自分は「ああわかるわかるその気持ち」とも「へー、そーかよ、ケッ」とも言えずに、ただビールをちびちびとなめていた。
 もちろんイヤな顔をしたいわけではなく陽気に飲みたいのだが、ふとした瞬間にうらやましさが屈折した角度で出てくるのを押さえるのはなかなか大変だ。祝いたい気持ちは山々なのだが、お互いに気を遣いながらお酒を飲んだりして、非常に申し訳なかったなーと思った。