ーOOO-んで、今は

 ちょっと時間を巻き戻して、「そわそわ」の後、発売前のセレモニーの話から。
 先頭に並んでいると、セレモニー自体は見られなかったりする。報道陣がいっぱい来ている気配だけはスゴくする。
 行列に並んでいるワレワレもカメラに撮られたりしている。報道のヒトに撮られるのはわかるが、ケータイで撮っちゃうってーのは何なのか。
 ココでいったん先頭のワタシだけ店内に通されて、先に会計を済ませることになる。商品の引き渡しは某社会長及び某社社長自らということらしく。
「お買い上げありがとうございます」
とガッチリ握手され、恐縮。なんだか舞い上がる。
 行列に戻ってみれば、セレモニーの前は20人ほどだった列が、気がつけばみっしりとした行列になりつつある。


 んで、セレモニーを撮った報道のヒトが店内に移動した後に、ワタシがいよいよ店内に入る。
 商品の受け渡し。
 周囲にはカメラ、カメラ、カメラ。
「こっちお願いしまーす」
「こちらもお願いしまーす」
 顔がガチンガチンにこわばる。
「商品を取り出したところで、もう一度」
「もうすこし上を向いてくださーい」
「コンパニオンの方、もっと近づいて」
「もう一度こっちお願いしまーす」
 頭、真っ白。


 ソレが終わったところで、ぐるっとカメラに囲まれてインタビュー。
「なぜ行列をしてまでこの商品を買ったんですか?」
 さあ。そこだ。
 頭、真っ白。
 スゴく欲しかったから、じゃあダメなんだろうなー…。
「えっと…」
 マイクがぐい、と近づいてくる。
 なんかチャンとしたこと言わなきゃ。スゴく良いものだって事をみんなに言わなくちゃ。大きな会社の大きなサービスのスタートの、記念すべき最初の1ページ目に残るような、何か、なにか…
「えっと…」
 ますます頭真っ白。


 …なんか、ダメダメだったなー。
 と言う気分が、さっきの記事の「あーあ」という一言に集約されているのですが。


 やっとカメラに解放されて。
 ふと気がつけば、お店の中はスゴいお客さんがたくさんいて。行列はスゴいことになっていました。うわー、エラいイベントの先頭になっちゃったんだなーと今さら思う。
 買い終わったら真っ白な灰になってしまって、
「せっかくのアキバなんだから、メモリとか何か買い出ししたいねぇ」
みたいな気分は吹っ飛んで、フラフラと駅へ。真っ直ぐ家へ。
 電車の中ではぐったりしてしまって眠ったのだけど、地元の駅についたときに
「あっ、お昼のニュースが始まって、オイラのマヌケ面がテレビに大写しになったら、恥ずかしくて街を歩けないぞー」
と思って、一目散に家へ。
 真っ先にem-oneに電源を入れて動かしてみようと思ったけれど、ふきっさらしのエントランスに一晩中立っていたからか、あるいは徹夜の疲れなのか。眠さと寒さが一度に襲ってきてしまい。とりあえず寝るしかないワタシでした。
 んで、寝ながらお昼のニュースをこわごわ見たら、どうやらインタビューは流れてなかったっぽい。あんまりにも話がたどたどしかったからかなー。でもそれはそれで良かったな。全チャンネルを確認するのは怖かったので、ソレで良しと言うことにして、気絶するように寝る。
 目が覚めて、リアル友人知人方面から電話とかがなかったので、「もしもテレビに映っていたとしても、ほとんど判別出来なかったに違いない」と判断。近所で顔を隠して歩くような真似はしなくて良さそうだ。ひとまず安心。


 初めての徹夜行列体験が、いきなりの先頭で、取材を受けまくっちゃったりなんかして、恥ずかしかったけど良い体験をしました。いや、良い経験って言うか今は「恥ずかしい!」でいっぱいで、良かったとは言いにくいんですけど、でもまあ後になれば笑い話になるたぐいの良い経験だったなぁと思えます。
 行列が伸びていく感じはお祭り感があって良かったんですけど、でも先頭に並ぶ緊張感と責任感はちょっとスゴくてスゴい。
 深夜一晩並ぶキツさは身をもって知ったので、今後こういうことはしないようにしよう。
 と思いつつも、その決意を覆すような、欲しくて欲しくてたまらない素敵な製品がいつかあらわれることも期待したりしています。


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