ーOOO-春雨や

 ワタシはとうとう自転車通勤をはじめました。
 はじめたのが4月1日で、この日に「はじめました」なーんて書くとエイプリルフールっぽかったので黙ってました。
 あとそれから、3日続けられずに終わってしまうのもカッコ悪いので、黙ってましたが。
 しかし!
 やりましたよオレはついに!
 まだ自転車通勤を続けていますよ!


 はじめの一歩として、なし崩しに決意が崩れるのを防ぐために、定期券を買わないことにしました。
 定期券を持っていると、どれほど良いお天気だろうが元気が良かろうが、駅に差し掛かったときに 「どうしようかなー、でもなんかめんどくさいから、電車に乗っちゃえ〜」 って感じで、自転車置き場に向かっちゃうので。
 んで、はじめの二歩目として、自転車屋さんでブレーキワイヤーやらなんやらを交換してもらい、ついでにサイドミラーを右側に付けました。
 ミラーが付いてるとカッコ悪いんだけど、車道に出なければならない時とかのために、せめて右側だけでも付けておきたいと思いました。

初日はすこぶる快調に。

 10キロを40分で会社に着くつもりだったんですが、前回の試走の時と違い、

  • 向かい風が強かったので、+5分。
  • 朝の通勤時間帯は歩道が混んでる。+5分。
  • 帰り道は、歩道をおじいちゃんおばあちゃんが歩いてたり、子供を自転車に乗せたママさんが走ってたりする。より慎重な走りが要求されて+5分。
  • 夕方はヘッドライト点灯。ペダルの重さが増して+5分。

という感じで、到着時間が上手く読めないという難点がありますな。
 スケジュールはユル目に組んだ方が吉でしょう。
 ワタシの場合、朝の通勤ルートには 「コンビニに寄って缶コーヒーとその日の雑誌を買う」 というスケジュールが組んであります。で、遅刻しそうなときは泣く泣くソレをスキップして会社に向かえばいいので、時間の帳尻があわせやすくなっています。「急いでいるからスピードを上げて…」 って感じだと、事故のモトだと思いますんで。


 ところでウチの会社は朝ご飯が出るのですが。この日の朝ご飯の美味いこと美味いこと。
 あと、自転車を漕いでいて20分くらいから楽しくなってきて、多分アレは軽いランナーズハイだと思うのですが、会社ではそのハイな気分を保ったまま仕事が出来ました。なーんか、身体が軽くてさぁ。準備運動を済ませて仕事をしているような感じもあるのかな?
 もちろん身体は疲れていたんだけれど、それだけじゃなくって良いこともあるねぇ、と思いましたよ。
 ちなみにお昼ご飯を食べて休憩した後は、身体が重くてだるくて、ぜーんぜんやる気がしなかったことを書き添えておきますが。良いことばかりでもないワケです。

2日。

 朝、自転車で駅に向かっていたら、しとしとと小雨が降っていました。
「どうしよう? 普段なら傘をさすほどの雨とは思えないけれど、このまま会社へ直行だと濡れちゃうかな…」
 んで、駅で自転車を降りて、いつもの通勤電車に揺られて会社へ。
「あー、このままなし崩しに自転車通勤は挫折しちゃうのかな…」
 ものすごい敗北感。
 しかし、会社に着くころにはすっかり雨は止んでいて、というか途中の駅でもう雨が止んでいるのがわかって。
 そうなっちゃうと、定期券を使わないでマトモにお金を払って電車に乗るのが、高くて高くて仕方がない気がする。自転車に乗ってきていればお金を払わないですんだのに。
で、乗換えのたびに、
「もったいない…」
「もったいない…」
 この「もったいなさ」をバネに、セコいオイラは「明日は自転車通勤をするぞ!」と固く決意するのでした。

1日会社を休んで、自転車通勤2日目。

 この日は目まぐるしく天気の変わる日で、
 曇っていたり、かと思えば一瞬晴れて、夕方は雷が鳴って。
 朝はもちろん自転車だったんだけど、帰りはどうしようかなぁ…。
 スーパーニュースでは石原良純がお台場フジテレビ前で
「…雨はこのあともっ、…続くでしょうっ! 夜10時までは… このように… 目まぐるしく、変わりやすい天気でっ!」
とかなんとか、雨や風に吹き付けられた苦痛に顔をゆがめながらレポートしてました。で、「ああコレは雨は続くなぁ… 自転車あきらめて、電車で帰ろうか…」 と思ったのでした。
 しかし会社を出て駅前に向かおうとしたら、カサをさした自転車が「ついーっ」と通りすぎて行くではありませんか。
 そーだよな。
 激しい雨だけど、これくらいの雨ならオレだって、自分チから駅までカサを差して走ったっけな。っつーか台風の日でもそうだったじゃん。
 そんなことを思い、自転車に乗って家に帰ることを決意したのですが。


 駅前をカサをさして自転車で走るのはともかく、カサを差しながら土手を走っているのはオレ一人でした。
 土手の上。物陰もなく、あちこちの角度から風が吹いてきて、びしょぬれになります。
 っつーかカミナリの音がどこかから聞こえてきます。うそ、カミナリまた来るの?
 たのもしく雨風をはじいてくれるはずのユニクロのシングルトレンチコート。3990円。も、役に立ちません。立ちませんっつーか、ユニクロが誇るコートそれ自身はたのもしく雨風をはじいてくれるんだけど、首筋とか袖口とかから容赦なく水が進入してくる。あああ。
 んで、ズボンがびしゃびしゃに濡れまくって、足にからみついてきます。ひと漕ぎひと漕ぎするたびに、びしゃっびしゃっと足が重い。
 当然クツもずぐずぐになっています。
 背中に背負った防水製の低いリュックは、荷物を守ってくれているのか? リュックを背負っている背中の境目あたりが、イヤな感じにヒンヤリします。


 目まぐるしく変わる天気は移り気で、雨はやがて弱くなり、自宅までの道のりの真ん中へんで小やみになりました。
 カサはささなくて良さそうですが。
 しかし被害は甚大。もう手遅れ。
 「どっかで着替えを買おうかなぁ」と思いましたが、「こんなびしょ濡れで店に入ったら、イヤがられるよなぁ…」とも思うわけで。よろよろと自転車に乗って帰りました。

春の雨から得られた教訓

 雨! 自転車通勤は雨対策が肝心!
 っつーことで、カッパを買ってきてリュックの底に忍ばせることにしました。
 しかし今度あんな雨が降ったら、自転車に乗りたくないなぁ…。
 と言う話を会社のヒトにしたら、
「大丈夫! あんなヒドい雨の中、自転車に乗って家に帰れたんだから、もう怖いモノはないよ!」
「そうそう、たいていの雨はへっちゃらだよ! お前なら!」
と、励まされましたです…。