ーOOO-「クローズド・ノート」

 今年の春、都合上ワタシは自由学園・明日館というところに行ってきたのですが。
 で、その「都合」というのは、映画「クローズド・ノート」のエキストラに参加してきたからなのでした。
 ギャラが出なくても良ければ、映画でもドラマでもエキストラとして気軽に参加できちゃうモノなのです。(→関連:東京<エキストラ>NOTES


 で、どんなシーンだったのか、書いちゃいますね。
 ちいさな講堂のような場所で、市内の各小学校から代表が一クラスずつ集まって、合唱大会の場面。
 先生役の竹内結子さんが率いるクラス30人ほどが、講堂に入場してくるシーンからはじまって、全員が舞台に上がり、お客様に一礼。「翼をください」を、歌い始める。
 途中、独唱するはずの女の子が、緊張のあまり声が出なくなる。
 ざわめく観客。
 竹内先生が、女の子の前に行き、自分の胸を軽くトントンと叩いてみせる。
 女の子も自分の胸をトントン叩く。
 心が落ち着いたらしく、女の子は歌い出す。
 そしてクラス全員が声をそろえて歌いだす。
 歌い終えて、シーンとなって。
 ややあって、会場の観客から暖かい拍手。大きな大きな拍手。
 舞台の上の全員が一礼する。


 そんなシーンだったと思う。
 全部で5分ほどのシーンだったと思うけれど、その撮影は大変だった。
 同じ場面をいろいろな角度から撮影するために、何度も何度も同じシーン・同じ演技を繰り返していた。朝の10時から夕方6時まで、途中お弁当を食べたりしながらも、みっちりと撮影は続いた。


 んで先週末、とうとうクローズド・ノートが封切られた。
 「自分は映ってるかなー?」と思って、ややワクワクしながら映画館に足を運んだ。
 あ、チケットは「自腹」で買ってますよ。ノーギャラで映画に出て、自腹で映画を見るんだからノンキなものです。
 上映中はストーリーにのめり込んで、自分が出てくることなどすっかり忘れている。
 で。
 あ、このシーンだ!
 キター…って、
 え?
 そのシーンは、あっという間に終わってしまった。
 全部で5分ほどになるはずのシーンは、バッサリ切られていた。
 クラスの全員が舞台の上で歌っているシーン。ただそれだけ。10秒あったか、無かったか?
 映画はどんどん先に進んでしまう。ソレを見ながら、うーん、いったいどういうことだ? と考える。
 しかし考えてみれば、本筋をすっきりさせるためには、あのシーンはあれくらい切りつめた方がテンポが良いのだ。
 そしてたぶん、世の中の映画というのは、そういうふうに「使われなかったシーン」がたくさんたくさんあるのだ、きっと。
 すげえなぁ、映画。
 んで、あの映画に関して言えば、竹内先生と子供たちは「たくさんの使われなかったシーン」の間も、ずーっと顔を合わせていたわけで、それがみんなの仲の良い感じや息のあった感じにつながっていると思うし、そういう空気は画面の中からあふれていたので、良かったと思う。


 観客として冷静な目で「クローズドノート」はどうだったか? っていうと、ビミョーかなぁ。ちょっとオススメしないですけど。いや、オレはワリと好きですけど。
 あれ、わっかんねーなぁ、でもアレが女心なのかね? や、きっと違うな。
 行定監督の「世界の中心で愛をさけぶ」もスゲー良いんだけど、ラストあたり「?」みたいな瞬間ってあるじゃないですか。画を優先しちゃったの? みたいな。いや、オレはスゲー好きですけど。


 あ、ワタクシ、銀幕デビュウは果たせなくてよ。オホホホ。