ーOOO-はじめてのショットバー
ここんとこ急にウイスキーが好きになりつつあるワタクシですが。
こないだはサントリーさんの白州蒸留所に行ってきたのですが(→白州に行った話はこちら)、こんどはニッカウヰスキーさんの南青山の本社にあるバーで、シングルモルト余市というウイスキーを試飲するイベントに参加することになりました。
このシングルモルト余市というウイスキーは、ワールド・ウイスキー・アワード2008で最高賞のワールド・ベスト・シングルモルトウイスキーを受賞したのだそうで、そらもうすごい味なのですよ! 今から楽しみです(→世界一のウイスキーを飲んだ話はこちら)。
さてさて。
ウイスキーは最近飲みはじめたばかりなので、いろいろ飲んでみたいワタクシ。
ある日の帰り道。近所にショットバーがあるのを発見しました。
いままでは見向きもせずに通り過ぎていたけれど、ははーん、ココならあれこれウイスキーを飲み比べるコトが出来るかな?
みんなでダーツバーに行ったりしたことはあったけれど、ワタシは一人でショットバーに行くのは初めてです。うーん、キンチョーするなぁ。
そうそう、ショットバーとダーツがあるバーをごっちゃにしていたワタシですが、ソレは違うのね。ダーツがあるのはダーツバー。プールバーに行くときには水着は必要ありません。
初心者だけど、バーでは恥ずかしくない程度にさりげなく注文をすませたかったので、まずはウイスキーをオーダーする方法をググります。シングル?ダブル?うーん、とりあえずロックでいいかな…。
あと、バーでマスターとかに話しかけられたらどうしよう、ちょっと会話は苦手かも…。
そうだ、バーではウイスキー片手に読書してればいいじゃん!
ということで、ショットバーに行くまえに本屋に向かい、読むべき本を探しました。酔っぱらって読んでも平気っぽいあんまり難しくない本で、でもバカ笑いするような本じゃダメで…。本屋の本棚の前で結構長いことうろうろしました。
そんで、いよいよショットバーに向かいます。
で、店先に自転車を止めようと思ったら、そんなスペースは無くてびっくり。
そのお店は狭い歩道に面していたので、止めようがない。
どこに自転車を置こうかな… いや、厳密には自転車は飲酒運転禁止だから、駐輪場が無くたって不思議はないけどさ…。に、してもこの辺は自転車を止めるスペースがどこにもないね…。
ずいぶんうろうろして、結局駅前の、通勤の時に自転車を止めている駐輪場まで戻ってしまったのでした。
ここまででずいぶんタイムロスと回り道をしたのですが、ようやくショットバーに潜入です!
からーん、ころーん。
店にはお客さんがだれもいない!
「…いらっしゃいませ」
マスターがメニューを差し出します。
やや緊張しながらマスターの後ろの酒棚をみれば、ずらーっとお酒のビンが並んでいる。
ううう、なにを頼もうか?
種類ありすぎ! 多すぎ! うれしいけど、困る…。
うーん、うーん。
なにを頼んでいいのか困り果てて、ぐわぁぁぁっと急速に緊張が高まってくる。
と、そこで「ラフロイグ」というウイスキーの名前が目に入った。
その名前には聞き覚えがあった。
例の白州蒸留所に向かうバスの中で、サントリーの方が
「この中にウイスキーが好きという方はおられますか?」
と聞いたら手を挙げたヒトが何人かいて、その中の一人の女性の方が
「ラフロイグを飲んでます」みたいなことを言ったら、
「それはホントに通ですね。お好きなんですね」
とサントリーのヒトが言ってたような…そういう会話があった気がした。
で、「ラフロイグ」という名前が印象にのこっていた。
「ラフロイグを、ロックで」
買ってきたばかりの本を読み始める。
マスターが黙ってグラスを置く。
グラスを手にとって少し光にかざす。とろりとした琥珀色の液体の中に、ゆらゆらと陽炎のようなモノが見える。水とウイスキーがゆったりと、混ざり合っている様子だ。
カランと氷が音を立てる。
ラフロイグはアイラ島で作られる。海岸沿いにある蒸留所で、ピートと呼ばれる泥炭で大麦をいぶすため、ピート香が強い。
海の香り、ピートの香り…さて、どんな味のウイスキーなのだろう。
期待に胸を躍らせつつ、一口…。
んー。
オエッ。
オエエエエッ!
なんというかな、一言でいって正露丸みたいな味だな。
もっと詳しく言うと、正露丸を焼酎で飲んだみたいな感じだな。暴力的にアルコール臭い正露丸。
こ、これは…。
うーむ。
マスターがこちらの様子をうかがっている気がする。
ワタシは顔色一つ変えず、あくまでクールによそおい、本に目を落とす。
そんなウイスキーでも、ちびちびやっているうちに慣れてくる。
変な味だなーとは思うけど、コレはそうとう個性的。飲み慣れちゃうと、これ以外は受け付けなくなっちゃうヒトだっているんじゃないかな。
クセが少ないウイスキーは飲みやすいけど、グイグイいけちゃうからヤバい気がする。でもクセが強いと、ちびちび飲めるし、飽きないかな…。
ちびちびとウイスキーをなめながら、静かなバーの店内で、文庫のページをめくる。
うん、コレはコレで楽しいかな。
と、そこに新しいお客さんがドヤドヤッと入ってきた。
バーの隅っこにあったダーツマシンにコインを入れる。
ダキュン、ダキュン、ダキュン。
ペペレペー。
ペロレレーン。
ダダキュン、ダキュン、バッキューゥン。
ズゥワァーッシャン!
ペペレペー。
家に帰ってから、
「なんか、思ってたようにいかないモンだなぁ…」とか
「オレは何をやってたんだ一体…」とか、一人で反省会をしました。