ーOOO-首都高交通管制室の見学記 … 東京スマートドライバー

an_dan_go2009-02-01

 こないだチラッと書いたんですが、首都高の交通管制室を見学してきましたので、そのレポートを。
 首都高は東東京管理局(箱崎ジャンクション近く)・西東京管理局(三宅坂ジャンクション近く)・神奈川管理局(横羽線東神奈川近く)の3つの管理局が管理しています。今回はそのうちの西東京管理局にお邪魔しました。
 
 バーン、と壁一面に首都高の交通情報が映し出されています!
 縦5メートル横15メートルくらい、でしょうか。その巨大スクリーンを一望できる離れた位置に管制官の方は座っておられました。
 「アレですよね、あの管制室のテーマソングはウルトラマンの♪ワンダバダバダバ、ワンダバダバダバ、って感じがしますよね」(by山名さん)
 
 管制官の方の手元にも小さなスクリーンがいっぱいならんでいました。でも、巨大なスクリーンの情報を全員が一度に一望できることが大事なんでしょうね。
 
 管制官の方の頭上の部分、ガラス窓の向こう側は、ラジオ局などのアナウンサーさんが交通情報を伝えるための放送席です。ラジオで「首都高のナントカさーん」と呼びかけると、ここに中継がつながるわけですね。
 交通情報のアナウンサーさんはブースに陣取って、各自が巨大ディスプレイの情報を読み取り、分析し、生放送のラジオの交通情報を伝えています。

交通管制室の仕事って?

 首都高中央交通管制室の仕事は、おおまかに言うと

  1. 渋滞に関する情報提供
  2. 突発事象に対する対処と情報提供

の2点です。


 まずは渋滞について。
 首都高における「渋滞」の定義は時速20キロ以下で、20キロから40キロまでを「混雑」と呼んでいます。
 首都高には500メートルごとにひとつ、5メートル間隔でセンサーが並んでいる部分があります。ここを通過する車の速度を読み取って、1分間ごとに情報を更新しています。この情報は自動更新で、情報板にデータが表示されます。
 
 赤い色が「渋滞」、黄色が「混雑」です。
 この渋滞情報は即座に、高速道路の上に設置された情報表示板に反映されます。
 またこの交通情報は、先に述べたラジオの交通情報のほかに、VICSと呼ばれるカーナビの渋滞情報にも提供されています。


 次に、突発事象について。
 車の事故、故障、道路への落下物のことを、ここでは突発事象と呼びます。
 首都高全体の交通事故は年間に11000件、故障車が1万件、落下物3万件発生します。
 事故や故障車の救助、落下物の除去といった作業は、さらなる被害を防ぐためにも重要な作業です。
 首都高では数十台の黄色いパトロールカーが巡回しています。それぞれ巡回コースが決まっていて、1台が1周2時間ほどかけて同じコースを巡回しています。それが数十台で巡回しているので、ある地点を数十分間隔でパトロールしていることになります。
 もちろん、パトロールによる監視だけではありません。
 首都高の管制室では約500メートルおきに設置された1600か所のカメラで道路状況を監視しています。
 また、ひとたび事故が発生すれば、最寄りの司令所から黄色いパトロールバイクの首都高バイク隊が出動し、現場に急行します。そしていちはやく現場を通行止めにして交通整理します。巡回パトロールカーも合流し、警察や救急車と連携して事故の整理にあたるそうです。

山手トンネルの防災システム

 次に、同じ管制室の別な部署にある山手トンネルの管制システムを見学することになりました。
 
 先頃完成した山手トンネルは5.5kmと長大なトンネルです。ひとたび事故が発生すれば、大惨事になりかねません。
 このため、山手トンネルには専用の管制システムが使われています。
 たくさんのモニターに画面が映し出され、次々にカメラが切り替わって監視しているのですが、それだけでは見落としが発生する可能性もあります。
 そこで、最新鋭のこの監視カメラには、異常な行動を感知するシステムが付いています。
 「事故が発生した」「道路に落下物が落ちている」はたまた「センターラインをオーバーして蛇行運転している車が走行中である」といった異常を感知すると、カメラは自動でその部分に切り替わり、モニターに映し出します。
 
 過去に発生した実際の事例です。
 
 単独で横転したバイクと、通りすがりの発見者さんが救助に向かう様子です。
「何が起こったか」を把握しやすくするために、その瞬間の前後がリピート再生されていました。


 このほかにも工夫があります。
 トンネル内で事故や火災が発生すると、信号が赤になってトンネルには入れなくなります。また、火災が発生した場合は、火災現場の前後25メートルくらいが水浸しになるほど放水するようになっています。
 それから山手トンネルは合流部や分流部を明るくしてあって、事故が起こりにくい設計になっているそうです。
 このため、山手トンネルの事故件数は年間95件。事故件数が少ないだけでなく、既存の道路よりも事故率が低くて、安全なトンネルなのだそうです

おわりに

 ほんの20分ほどの見学でしたが、この見学の間にも事故が発生して、現場の皆さんは対応に追われていました。お忙しい中、お邪魔して失礼しました。
 交通管制室は首都高でもっとも忙しく、気が抜けない部署なのだそうです。


 首都高には監視カメラがたくさん設置してありますが、500メートルに1基しか設置してありません。またカメラの回転やズームは禁止されているそうなので、監視カメラには死角がたくさんあり、どうしても見落としてしまう部分もでるのだそうです。
 もしも首都高で事故や落下物を目撃した場合や車が故障した場合で、
「近くに非常電話がない」「車の外に出るのが怖い」
そんなときは安全な場所に車を止めて、道路緊急ダイヤル#9910にお電話ください、とのことでした。