ーOOO-産地と品種で風味は違う … シングルモルト&ショコラ マリアージュ講座
さてさて、サントリーさんの「大人のためのシングルモルト&ショコラ マリアージュ講座」のレポートの続きです。
ショコラの味はカカオマス、カカオバターの配合比だけでなく、カカオ豆の産地や品種の組み合わせによって大きく変わってきます。
前回まではカカオの歴史、栽培、製造の話を書きましたが、今回はカカオの品種や産地についてのお話です。
カカオの品種について
ふだんチョコレートを食べているときにそんなことは考えませんが、カカオ豆にも品種があり、それぞれ大きな特徴を持っています。
カカオは大きく分けて3つの種類に分かれます。
ひとつは、カカオの起源といえる「クリオロ」。
クリオロは「本物」とか「本来」を意味する言葉で、3000年前から栽培されていたカカオの原種です。「本物」の名に恥じぬように高品質で風味がよいのですが、病害虫に弱いことから生産量が少なく、貴重な品種となっています。
そして「フォラステロ」。
フォラステロは「よそもの」という意味なのですが、成長が早く強いことから、世界の生産量の80〜90%がこの豆になります。苦みが強い豆ですが香りが高く、最もカカオ感を感じる豆となっています。ベースとして重要な品種です。
最後に「トリニタオ」。
これはトリニダードトバコでとれることからこの名が付きました。クリオロとフォラステロの自然交配種で、両者の中間の性質を持っています。生産量は10〜15%です。
この基本の3種の他に、多くのカカオの品種が存在します。
ここでは「ナシオナール」という品種を紹介します。
ナシオナールはファラステロの突然変異で派生したアリバ種の品種です。エクアドルでしかとれません。非常に繊細な花の香りがします。
カカオの産地について
さて、カカオ豆はどんなところで作られているんでしょうか?
カカオは高温・多湿な地方で栽培される熱帯植物です。
赤道を中心に北緯20度、難易20度までの範囲をカカオのベルト地帯と呼びます。そのベルト地帯の中でも平均気温27℃以上で、しかも年間を通じて気温の上下が少ない場所。限られた場所でしかコーヒーは育たないのです。
ちなみにカカオの樹は植える場所も選びます。カカオは水はけの良い土地に植えられます。さらに直射日光を避けるために、カカオの樹と一緒に背の高い樹を植えて日陰を作ってやるのだそうです。これをシェードツリー、あるいはマザーツリーと呼ぶのだそうです。
産地は西アフリカ(ガーナやコートジボワールなど)、中南米(ベネズエラやエクアドルなど)、そして東南アジア(パプアニューギニアなど)などです。
カカオのテロワール
「カカオのテロワール」と書きましたが、テロワールはもともとワイン用語です。
カカオは土地や、土地を取り巻く環境の影響を大きく受けます。このことを「テロワール」という言葉で表します。
カカオやワインに限らず、考えてみればお米やお茶にだってテロワールがあるでしょう。同じコシヒカリといっても新潟産コシヒカリは美味しいものですし、なかでも魚沼産はブランドとなっています。
同じように、カカオにだって産地ごとの特性があるのです。くわしくはこちらのロイスのページをご覧ください。
チョコレートを大量生産生産する上で味や品質にばらつきがないようにするために、ブレンドはかかせない工程です。いつ食べても同じ品質のおいしいチョコレートを出荷するために、ブレンドでバランス良い味を保ち続けてきたのです。
しかし現在では個性あるチョコレートに対するニーズが高まっています。
同じ品種のカカオでも、どこで育つかによって味わいは変わってきます。単一産地のカカオで作られたチョコレートは「シングルビーンズ」と呼ばれます。
ここでシングルビーンズのチョコレートをテイスティングして、その個性を体験してみましょう。
と、いうことでわたしたちの目の前に並んだのが3つのチョコレート。
コレはいったいどんな味のチョコレートなんでしょうか?
そのレポートはまた次回ということで。
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