ーOOO-NTTは日々、何を研究しておるのか? … NTT R&Dフォーラム2009

 

 ワタシは2月19日〜20日にNTT武蔵野研究開発センターで開催された「NTT R&Dフォーラム2009」を見学してきました。
 これは、「gooラボ ネットの未来プロジェクト」のブロガーイベントの第2弾です。
 通常このNTT R&DフォーラムにはNTT関係者以外は参加することが出来ません。当然のように写真撮影も禁止です。
 ってかですねぇ、上の写真は建物外観の写真なんですが、この写真も構内から撮影するのは禁止でして、いったん研究センターの敷地から出てからでないと撮影できなかったのでした。もうすでに建物外観が機密事項!?
 しかし今回は特別に許可をいただいて撮影をしてきました。それも、ブロガー参加者のうち4人しか写真を撮ることが出来ませんでした。んで、撮影した写真は全員で共有するということだったのですが、なんか自分の写真は的はずれな気がする…。ワタシが撮った写真を他の皆さんは生かすことが出来たのでしょうか? みたいな心配をしつつ、イベントの模様をおつたえします。
 

デジタルサイネージ技術

 サイネージというのは「看板」といった意味があります。デジタルサイネージはマツキヨの天井から下がってる液晶テレビとか、アキバのパーツ屋で値段を表示している液晶ディスプレイとか、あーいうのですね。
 NTTさんが今回デモしたのは、液晶ディスプレイとカメラを組み合わせて動作するデジタルサイネージの例でした。この画面写真には写っていませんが、天井部分にカメラを埋め込んで、商品とデジタルサイネージとそのまわりのお客さんの動きや人数をリアルタイムで把握しています。

デジタルサイネージの例その1 商品説明編


 商品ワゴンにはケーキが山積みになっていて、デジタルサイネージにはケーキ屋さんのロゴが出ています。 遠くからでも目にとまるような大きなイメージを映し出しています。

 お客さまが立ち止まると、商品の写真に切り替わります。
 連動して、音声も商品説明に切り替わります。

 近づいてきたお客さまは商品に興味を持っているはずなので、さらに細かいイメージに切り替えて、たくさんの商品をアピールします。

 ためらっていったんはなれたお客さまが、迷って振り返ったときには、別の商品をアピールします。
 さきほどはイチゴのケーキでしたが、こんどはマロンケーキを画面に表示します。

 もういちど近づいてきたお客様に、さらに細かい商品説明でアピール。

デジタルサイネージの例その2 タイムセール編

  
 商品とデジタルサイネージを2人のお客さまが見ています。
  
 3人目のお客様があらわれたところで、突然ポイントアップのタイムセールを行います。
  
 お客様が少なくなっても状態は保持されます。
  
 ディスプレイの前からお客様がいなくなったら、タイムセールは終了になります。
  
 広告の立て看板も、インタラクティビティが加わるとずいぶん面白いことになりますね。
 そのうち「あそこのスーパーは、商品の前に3人で立つとタイムセールで安くなる!」みたいな情報がオバチャンたちの間で口コミで伝わったりするんでしょうな。スーパーの広告がテレビゲームみたいに攻略されちゃう日も来るんじゃないでしょうか。

そのほか

 
 会場は広くて、展示物が盛りだくさんでした。で、それぞれの展示物を解説するのはもちろんコンパニオンのおねーさん…ではなくて、担当者や開発者のかたが直接解説していました。
 展示物は「NTT=電話」という枠にとどまらず、さまざまな最先端技術が集まっていたのも面白かったです。NTTさんは広い分野の研究を行っているんですね。と、いうかデカい会社なのですよねー。いまさら何を言ってるんだという感じですが。
 個人的に気になったのは
「光を蓄え、遅くするフォトニック結晶
量子もつれ光子対を用いた量子通信実験」
とかいったSFチックな出品物です。で、解説をお願いしたいなーと思ったんですが、あんまりにも自分がシロートなので臆してしまってお話を伺えませんでした。ってか、こーいうのって、いったい何から質問していいかさえ自分には思い浮かばない! んーむ。
 でも後で思ったんですが、ああ、せっかくだからあのとき質問してくれば良かったなーとブロガーとして反省しました。どの展示物でも、シロートのワタシがあれこれ説明をうかがうと、担当のかたはワタシ向けに親切に解説してくださったんですよね。わからないなりに、もっとわかろうとすればよかった。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥…というかこの場合、後悔だな。

通信技術の未来

 さて、そのほかの展示物の紹介です。
 私が気になったのは、NTTの本領というか、さまざまな通信技術についてです。

120Ghz帯ミリ波通信システム

 
 10Gbpsの無線通信が可能なシステム。非圧縮のハイビジョン映像を最大6チャンネル分伝送することが可能。
 実際に北京五輪の中継で運用トライアルが行われた。ちなみに上の写真に写っているアンテナこそが、実際に北京で使われた実機である。
 
 いままさに研究室からフィールドに飛び出そうとしている技術である。

TCPレート制御技術

 
 TCP通信は、瞬間ごとのデータの送信量の差が大きい。データの流れをアナライザで見ると、ギザギザしたデータの流れの山が見える。このため、たとえ100メガの回線であっても実際にはロスが多くて半分程度の通信速度になることがある。
 データの流れを制御してやることでこのギザギザを減らし、同じ回線で実質的な通信速度を上げてやることが可能になる。
 
 技術開発によって、従来の回線をより快適に使うための試みといえるだろう。

100ギガビット通信技術

 
 顕微鏡があったので、なんとなくのぞいてみた。
 これには超高速ICがセットしてあった。下の写真の左下にある金色の物体がソレだ。
 実物はタテヨコ1ミリしかないので、顕微鏡にセットしてあったというわけだ。
 
 我々が光ファイバーで使っているのは100メガだ。
 今回展示してあるのは100ギガ。1000倍の通信速度だ。
 これを実現するために、さまざまな関連技術や関連部品の技術開発が行われている。
 
 パソコンのCPUなどの技術開発は、私たちの目に触れやすい。
 だが、こういった技術の開発について私たちはあまりにもよく知らなさすぎる。

まとめ

 このイベントは、どこか文化祭っぽい匂いがしました。もちろん「焼きそばを売ってた」とかそんなことは無いんですが、
 普段は研究室にこもって実験ばかりしている人たちが、自分の研究成果を「さあ見てください!」みたいな感じ。そういうお祭りっていうか。
 外野から見るとNTTのイベントなんだけど、実はNTTグループの各会社の発表会なので、内部的にはふだん横のつながりが無い人たちの交流が図れている。
「ほう、うちの会社、こんなことやってたのか」
みたいなことをお互いに言い合う…多分ね。なんかそんな感じ。
 説明している研究者の方々も、どこか誇らしげ。
 長い間積み重ねてきた研究が、ようやく発表できる形になったという喜びにあふれている、そんな感じに見えました。


 それから、今回のレポートでは物足らなかった人や、もっと知りたいという人へ。
 身近なんだけど、あんまりよくわからない通信技術。
 その様々な部分をわかりやすく説明するコンテンツ、「知恵の笑い」というページが公開されています。
 よろしかったらこちらをどうぞ。