ーOOO- 夢のハイビジョンテレビの競演 - CEATEC2009
テレビのニュースなんかでCEATECの話題を見ると、だいたいロボットとケータイとテレビという感じですな。
で、今日はテレビの話を。
高輝度低消費電力を歌うLEDバックライト搭載の液晶テレビ「LED AQUOS」について先日シャープさんに話をうかがってきたばかりなのですが、しかし各社も続々とLEDバックライト対応を進めているようです。
中でも今回一番力が入っていたのが東芝のブース。
プレイステーション3に使われている高速演算チップ「CELL」を画像処理に使う新型液晶テレビ「CELL REGZA」の発表です。当然のようにLEDバックライトを装備です。
東芝ブースの展示スペースのほとんどすべてが、このCELL REGZAに割かれていました。
こないだのシャープさんのお話では「スピーカーの音が原因の微振動が、画質に悪い影響を与えます」ということでした。
この部分、シャープさんは振動の低いウーハーを専用開発して内蔵したのですが、東芝さんのCELL REGZAのスピーカーは別体となって、本体と離して設置してあります。
同じ部分でみんな苦しんでいるんだけど、その解決のアプローチが違っていて面白いですね。
さて、従来型の液晶テレビのコントラスト比が「1万5千:1」
前回シャープさんで取材してきたLED AQUOSが「200万:1」
そしてこのCELL REGZAはコントラスト比が「500万:1」なのです。
夜の東京タワーのように、明暗の差がはっきりとした画像だと、鉄骨部分と暗闇の差がはっきりと。コントラスト比の高さがうかがい知れます。
ここでまた、前回シャープさんにうかがってきたお話を。
従来型のAQUOSと新型のLED AQUOSを比べると、新型LED AQUOSは画面の表面処理が変わり、ツルツル感がアップしてやや写り込みが感じられる半光沢処理になっていたんですね。
画面の表面がツルツルだと、周囲の景色が画面に映り込む。っていうか、自分の姿がテレビに映り込む。なんか、イヤじゃないですか?
「旧型の半光沢処理をやめて、新型ではツヤありに仕上げたのはなぜですか?」
とシャープの技術者さんに尋ねたところ、
「半光沢だと黒色の締まりが悪くなるんです。これはコントラスト比に響きます。画面の明るさは必要以上にあげても仕方がないので、黒色がいかに黒く見えるかで明暗の差…コントラスト比が決まります。」
というお話でした。
それでもシャープさんは、完全にツルツルには処理しないで、微妙な半光沢処理をしていたんですが、今回のこのCELL REGZAは表面を完全にツルツルに仕上げたんですね。
スペック的にCELL REGZAはコントラスト比が高いんですが、この写り込みっぷり。んー、みなさん、どうでしょう?
今回は暗室が用意されていて、そこで新型CELL REGZAと従来型液晶テレビの画像を見比べるチャンスがありました。
ってか、やっぱ写り込み、気にならね?
さて、左側が新型CELL REGZA、右側が従来型液晶テレビです。
パッと見て、新型CELL REGZAの画面は、輝度が高すぎるんですけど…。なんかやたらまぶしいし。で、右側の従来型液晶テレビは暗めだし。比較用の視聴環境としてはズルいんじゃねぇの?って気がしますな。
前回のシャープさんのイベントの比較では、むしろ新型のLED AQUOSのほうが輝度が低い感じがして、「ズルさ」は感じなかったんですが。でもそうすると他の参加者さんたちはあんまり違いがわからないみたいで「?」って顔してたんですけど。
もしもコレが店頭デモ用だったら、パッと見てキレイだからわかりやすくていいのかな。でも、こういうキチンとした比較の場では「小細工っぽくってズルい」と感じました。
「写り込みの激しいツルテカ表面仕上げで黒の締まりをよくして、非実用的な領域まで輝度の高いLEDを搭載して白の輝度をあげたことで、コントラスト比500万:1を達成したテレビ」というイメージを持っちゃったワタクシです。
さてさて、だから東京タワー本体のまぶしさに目を取られるのはやめましょう。
タワーの周辺にあふれる光が、ひとまわり大きく周辺までふんわりとしたグラデーションで表現されていますね。
LEDバックライトの密度が悪いと、こういうパッキリと明暗の差が分かれる画像では不自然さが出ます。
逆に言うと、シャープのLED AQUOSではこういうパッキリした明暗の差がある映像は見なかった気がしました。ひょっとしたら、あちらではこういう画像は不得手なのかも?
実際に電気店の店頭に並んだらそういった部分に注目して、同じ映像ソースで見比べてみると良いでしょう。
左側が新型CELL REGZA、右側が従来型液晶テレビです。
これは写真上では新型CELL REGZAのほうが不自然に見えますが、実際に肉眼で見たところでは新型CELL REGZAの花びらは透き通って見え、中心のおしべの花粉までリアルに見えました。いや、コレはすごい。
このあと映画「ダークナイト」のブルーレイ版の一部分が再生されました。
入力された映像ソースをさらに分析して、より美しく表示させるというCELL REGZAの美点が非常に生きていました。車体の鉄っぽさ、鉄骨の鉄っぽさなどの微妙な「金属感」の差が表現されていました。
「画面の写り込みが!写り込みが!」って鬼の首を取ったように言いましたが、こういう映像になると写り込みなんかまったく気にならない。うーん、美しい。
ワタシは昔っからX68000とかザウルスとか使ってきたシャープ党なので、ついついシャープを応援したくなっちゃうんですが、東芝のリブレットも好きだったですし、なんか知り合いが東芝の液晶テレビ部門で働いているので、東芝も応援したくなっちゃうんですよね。
で、どちらのテレビが良いかって?
うーん、この勝負、まあ、とりあえず今の自分には手が届かない値段なので…。
ホントに買うとなったら、店頭で輝度をそろえて、同じソースを再生して、それから決めたいですねー。
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