ーOOO-ある熱帯夜

「話が面白いわけでもない気の利かない後輩を連れ回して飲んで歩くなんて、この人はよっぽど寂しいんだろうか? 他に遊ぶ人がいないんだろうか?」
と思いながら、上司と飲んで歩くだけの簡単な仕事です。
 厳密には上司および弊社取引先業者様と飲んで歩きました。
 延々と上司のグチおよび自慢話等々を聞く。
 上司と別れての帰り道、業者の人がワタシに「あんな人と飲みに行ってちゃアナタがダメになっちゃいますよ!」とアドバイスをする。何この展開。
 で、飲み直しましょうと言われたので、終電が近かったのだがもう一軒ハシゴ。
 ちょっと良さげな下町風炭火焼肉屋で、じゅうじゅうと上カルビなんか焼きつつ
「パソコンに詳しいところを見込んで、一つご相談したいことがあるんですが…」
 あー、なんか嫌な展開。はい、なんでしょう?
「取引先にホントにヒドい店があるんで、インターネットで匿名で告発したいんですが、どうしたらいいんでしょう?」
 え…?
 …んーと。…どうしたらいいんでしょうね?
 言葉を濁しつつも、上カルビだけはキッチリ食って「終電が近いんで、じゃ」と帰ってきたのだった。