ーOOO-いっとく … 相棒-劇場版II-

 年末年始は多忙だったけど、ちょっと手が空いてきたので映画館へ。そのうち見よう見ようと思っていた「相棒-劇場版II-」を見てきたです。この日は週末だったせいか劇場はなかなかの混雑。でもお客さんの年齢層が高いせいか、キャアキャア騒ぐお子さまやカップルがいなくて、静かに映画に没入できてなかなか良かったですな。


 ところで相棒を見るお客さんは、劇場入り口でもれなくポストカードをもらえるのだった。
 私のもらったポストカードには、岸部一徳の顔がデーンとあったので、思わず苦笑してしまった。絵柄は何種類かあるのかな?とも思ったのだが、その中でもよりによって岸部一徳とは…。かといって、にっこり微笑むミッチーとか六角精児とかのポストカードをもらったところで扱いに困るわけなのですが。うんうん。


 思えば、私は岸部一徳がけっこう好きだ。
 相棒の中では、岸部一徳演ずる小野田公顕と水谷豊演ずる杉下右京の一連のやりとりを楽しく見ている。
 小野田はのらりくらりとしてつかみ所が無く、それでいて底知れぬ存在の役柄だ。右京には正義のためには手段を選ばない危うさがある。そんな彼を小野田は手のひらの上の駒のように便利に使うことがあるし、あるいは彼の暴走にある種の歯止めをかける要石的な要素も持っている。また小野田には小野田の後ろ暗さがあり、そこを右京に突かれることもあるのだが。
 ところで「相棒」といえば、長らく杉下右京の相棒役を勤めていた寺脇康文演ずる亀山薫が、2008年12月にドラマを卒業したことがあったのだが、そのときに岸部一徳寺脇康文にこんな声をかけたのだそうだ。(以下うろおぼえなのでソース不明)

「卒業するのはつらいかもしれないけれど、ドラマに人気があるうちに卒業するのは幸せなことで、気が楽なんだよ。
 こういうのはむしろ残された者の方が大変なんだ。これでもしドラマの人気が下がれば、残った僕らの責任になっちゃうんだから」

 これは寺脇康文へのねぎらいの言葉であると同時に、役者の引き際の美学や、相棒という長寿ドラマをこれからも自分が支えていくという岸部一徳の自負や決意表明のようなものも見てとれる。
 先にも述べたように、岸部一徳演じる小野田は右京の要石というか、重しのような重要な存在である。小野田と右京の関係も物語上欠くべからざる関係で、ある意味で二人は「相棒」なのだ。
 劇場に入った時は「捨てちゃおうか」とさえ思っていた岸部一徳ポストカードではあったけれど、映画を見終わった後では「まあ、ちょっと記念に取っておこうかな」という気分になって、大事に大事に持って帰ったのでした。もっとも「部屋に飾っちゃおう」とは思わないけどな。


 さてさて映画の簡単な感想。ネタバレなしで。
 前回の映画は「はじめて相棒を見る人もいるかもしれないから」という視点を持って作られていたのですが、今回の映画ははっきりと「相棒ファン向け」に作られたんだそうです。
 それはどういう部分か?
 たとえば普通の映画では、多少登場人物の自己紹介的な部分とか、舞台の説明みたいな部分があるじゃないですか? それが一切なし。
 あと、連続ドラマの映画化というと、スピンオフ的というか、本編の流れとは全く関係ないストーリーになるものじゃないですか。ところが今回の相棒では、TVドラマ本編に関わるような大きな事件が発生します。いやちょっとびっくりした。そういう意味で「TVドラマのスペシャル特番」的な部分があります。
 それから、連続ドラマを映画化すると「TVでは出来ない、予算をふんだんに使った何かを見せなくちゃ!」みたいな気負いを感じることって、あるじゃないですか? たとえば「踊る3」の湾岸署の封鎖みたいなドタバタとか。自分的には、踊るのテレビシリーズはあそこまでドタバタ劇じゃなかったんだし、そんな豪華じゃなくていいからテレビシリーズの続き的なストーリーが見たかったのですが。やっぱ劇場用映画だと、画面が盛り上がるような派手な何かを用意するようなシナリオになっちゃうモノなのかなぁ…と思っていたのですが。
 今回の相棒でも警視庁立てこもり事件が発生するんだけど、「踊る3」ほどドタバタではなく、シリアスで。あまり予算をかけずにTVシリーズの延長のような舞台で撮影が行われていました。そういう意味でも「TVドラマのスペシャル特番」的な部分があります。


 だから「相棒の映画を見に行った」のではなく、「相棒のドラマのスペシャル特番をお金を払って見た」みたいな感覚があります。
 で、コレ、決してけなしてるわけじゃないですよ。むしろホメてるつもりのワタクシなのでした。
 っていうか逆に言っとくと、コレは相棒のドラマのスペシャル特番なので、TVドラマ版の相棒を楽しみにしているファンなら、今すぐ劇場に見に行かなきゃダメ! 絶体! そこんとこヨロシク、ということで。ええ。