ーOOO-けして寝てはならぬ

 腰痛に苦しんでいたオイラは、その原因の一つがボロい折りたたみベッドにあることに気づきつつあった。
 折りたたみベッドは、折りたたむフレームが金属で出来ていて、他の部分がスプリングで出来ている。このため、クッション性皆無の金属フレームが腰の部分を直撃するので、どうしようもなく腰が痛くなるのであった。さらに、このベッドが古くなっているからスプリングがヘタヘタで、身体と足は沈み込むのに腰だけは金属フレームが直撃という最悪さ。
 さすがに買い換えなきゃなと思いつつ、でも、ちゃんとしたベッドはお高いんでしょう?という感じで二の足を踏んでいてですねー。


 そしてあれは3月の末のこと。
 映画をみるついでにシマホに立ち寄ったオイラは、気がついたら10万円のベッドを買っていたのだった。
 あのですな、ホントは20万円のフランスベッドの展示品が、お客さんの子供にジュースをこぼされたので、10万円の処分品になっちゃった…という品があってですね、やり手の店員のオバチャンの「お買いになるなら消費税が5%な、今がチャンスですよ!」とかのグイグイ系トークにやられてしまったと、そういうわけなのですな。


 ブツは今日の昼に届く手はずになっていたのですが。
 計画性のないオイラは部屋の片付けをまったくしておらず、あわてて午前中にやっつけたんだけど、片付けでゴミを退治しきれず、シマホの人がやってきたときもまだ足の踏み場がなかったので、バラの梱包を荷ほどきせずに置いていってもらったのでした。


 午後は遠くの病院に予約がしてあったので、そちらへ。
 出掛けてしまえば楽しい気分で。
 ついでに映画なんか見たりして。


 家に帰れば現実が待っている。
 そこには、しっちゃかめっちゃかの部屋にデカい荷物と、いつもと違う風景にニャアニャア鳴いているネコの杏ちゃんさん。


 とりあえず、元の折りたたみベッドは、シマホさんに処分してもらっていた。
 しかし現時点でオイラの部屋は、ベッドがなくなったにも関わらず、なぜかすでにベッドを置くスペースが存在していなかった。
 不思議な話もあるものです。
 しっちゃかめっちゃかの部屋を片付けてて、ベッドを置くスペースを確保する。
 さらに、周囲にはベッドの組み立て作業スペースも必要だ。
 ゴミを片付ければ、そこには杏ちゃんの落とし物のカチカチになったウンコがあったりして。ひいいい!
 イヤになって、フテ寝してしまいたくなるが、ベッドがない以上、眠ることは出来ない。
 ひ、ひえええ!
 必死になってベッドを組み立てる。


 完成したベッドは、そらもう立派だ。
 店で見たときも立派だったが、そこに布団を乗っけると全体の厚みがハンパない。
 豪華なベッドの上には、物悲しいせんべい布団。
 しかしその全体は、オイラの腰ぐらいまで盛り上がっている。
 いつものせんべい布団が、すごい豪華に見えてくる。
 横になると、…はうあ!
 やわらかーい…。


 リッチなモノを買った喜びに浸るオイラであったが、しかしこのフカフカしたベッドは、腰が沈んでむしろ腰痛を悪化させるのではないかという懸念があって、いや、それでも以前の折りたたみベッドよりはマシじゃないかと思いつつ、フカフカ感はうれしいし、子猫の杏ちゃんさんもいつもと違う寝床の感触に、あちこちウロウロしたりフミフミしたりしている、と。
 うひゃー、寝られない寝られない♪
 現場からは以上です。