ーOOO-お中元
真夏の寝苦しい夜のこと。汗だくになりながら、ようやく眠りにつく。
と、我が家のネコの杏ちゃんさん(かわいい)が、いつもとちがうイタズラをしてきた。
オイラの枕と首のスキマに…というか首筋のあたりに、杏ちゃんが手をチョコチョコ入れたり出したり。ふわふわモコモコした細い腕にくすぐられて、なんだか楽しい気持ちになるワタクシ。
やがてオイラは深い眠りに落ちて。
真夜中に、首すじがこそばゆくて、目が覚めた。
眠い目をこすりながら、枕元の首もとを見てみれば、そこにはコガネムシの死骸が…ッ!
ぎゃあッ!
杏ちゃんがさっき首筋をイタズラしていたのは、どうやらコレをやるためだったらしい。も−!
会社でこの話をしたら、ネコに詳しい後輩くんはこう言った。
「それは…お中元ですね」
お中元!
ああ、日頃お世話になりました、みたいなニュアンスで?
「いやいや、そうじゃなくて、ネコから見て『コイツはエサを捕るのがへたくそだな』と思ったときに、エサを捕ってきてくれるんですよ」
これでも喰え!みたいな?
「そうですそうです」
うげげげ。
「お中元の好きなネコは、義理堅いですから。これからきっと、何度も何度もプレゼントしてくれるはずですよ」
どーんとこいだ! コガネムシは金持ちだから、どんどん小金が貯まっちゃうなぁ。
「コガネムシとは限らないじゃないですか。たとえば、セミとか」
うげげげ!
「あと、ゴキブリとか」
しょえええええ!
お中元コワい!