ーOOO-彼女の黒いネコ
スタバでひとやすみした。
雨が降っていたせいか店内は満席だったので、表の席へ。ちょっと寒いが風はなく、あんがい雨は当たらないものだ。
ふととなりのテーブルを見ると、イスに赤い手綱がくくってあった。でもテーブルの周りにはナニもいない… と思ってたら、イスの背もたれの影からネコが顔を覗かせた。すらっとした感じの黒ネコが、ぱっちりとした目でこちらを見る。
店内からラテかなんかを手に持った女性が出てきて、そのテーブルにかけよる。
そしてスタバのペーパーナプキンを3枚取り出して、少しだけくしゃくしゃっとさせてから彼女は黒ネコを拭いた。
頭をなでて。
背中を。
しっぽを。
黒ネコは嫌がることもなく、彼女にされるがままになっていて、少しうっとりと目を閉じたり、こっちをじっと見たりした。
最後にペーパーナプキンを広げると、それをタオルのように黒ネコの全身にかぶせて、やわやわと全身をなでて、すっかり雨をふき取っていた。すごく手慣れた様子で、黒ネコもそうされるのが普通であるかのようにおとなしくしていて、決して鳴きはしなかった。
飼い主の彼女と黒ネコの関係が好もしく思えて、ワタシは帰り道にほかほかとした気持ちになったんだけど。
今思えば飼い主の彼女は、いつでもあの黒ネコと二人きりな生活を送る、すごく寂しいヒトなのかもしれないな、と思った。