ーOOO-「はじめての中沢新一。」

 さてさて、月曜日の夜は東京国際フォーラムへ。
 「ほぼ日刊イトイ新聞中洲産業大学プレゼンツ:はじめての中沢新一。」というやつを見てきました。
 以下メモを一切取らずに記憶を頼りに書いているので乱文失礼。
 開演は19時。まずは中沢新一が講義を進める。ワタシとしては司会役にタモリ糸井重里を配して、ずっと3人でトークしながら進めるのかと思ってたから、最初はそこいらへんガックリ。でも、まー、はじめての中沢新一ってイベントのタイトルなんだし。
 まずここでは中沢さんの「アースダイバー」という本を中心に話が進む。
 東京は旧石器時代に海の中に沈んでいた部分が多く、当時は入り組んだフィヨルド状の海岸線を持っていたと考えられる。その入り組んだ海岸線沿いに遺跡や神社や墓が多く発見される。現在では海岸線は遠のき、江戸時代から現代にかけて大規模な埋め立てや開発が進んだ。けれど、現代の地図と旧石器時代の地図を重ね合わせて見ると、重なる部分が多い。たとえば当時は海の突端の岬であった部分に江戸城が建ち、皇居となっている。あるいは、当時の海岸線をつなぐように山手線は走っている。当時遺跡があった場所に、現代では町が栄えている。土地には記憶がある。というお話。
 講義が終わるとタモさんイトイさんが登場して、三人でユルーくトーク。待ってました。コレが聞きたかったのよ。
 タモさんは「タモリのTOKYO坂道美学入門」という本を出している。東京中の坂道を歩いて写真を撮っている。この時、坂道の名前の由来などを江戸時代までさかのぼって調べたりしているらしい。このことを知っていたイトイさんが、「タモリさんならアースダイバーを面白がるだろう」と、中沢さんの本を送った。コレが縁で今回のイベントが開催されたということだ。
タモリ「えーと、ワタシは江戸時代までしかさかのぼらなかったんですけど(爆笑)。上野駅の東側には、ナゼかバイクを売っている店がたくさん軒を連ねている。で、調べて見たら江戸時代にはあのあたりで馬をつないで売っていたらしい。だけどあのヒト達は、そんなことは全然知らないと思うし、ソレとは全く関係なくバイクを売っているんだと思うんだよね」
 休憩を挟んで、タモさんとイトイさんの前説。雑談の流れから
「みんな普段から感動し過ぎだよね。普通はそんなに感動することなんてないよね。オレなんか毎日感動しないようにしてるよ。どんだけ感動しないようにいくら気をつけていても、それでも感動する時はするんだからね」と、タモさん。
「夢なんか持ってないよ。夢なんか持っちゃうから挫折したりするんだ」とも。
 そして中沢さんの講義、第二部スタート。「チベットモーツァルト」から「カイエソバージュ」まで今までの研究を振り返る、といった感じ。このとき、中沢さんがアツくアツく今までの研究について語る! 聞いていてワタシは思ったんですが、大学の講義だと「いかにサボるか」を考える学生とか、メール打ったり、居眠りする学生が多かったりして、手ごたえがないと思うんですよ。それが、今日は東京国際フォーラムに千人以上のお客さんを集めて、全員話に耳を傾けてくれる! 中沢さんは教授冥利につきたんではないかなぁ。
 駆け足ながらも自分の今までの研究を振り返り、そしてこれからの研究課題芸術人類学について触れた。90分ノンストップ。このとき終了予定時刻の22時30分になったけれど、そのまま続行。タモさんとイトイさん再登場。直前の芸術人類学の話から、岡本太郎さんの話。そのまま話はあっちゃこっちゃとんで、いつしか大学論へ。どんどんと楽しい時間が過ぎて行く。
「駐車場、閉まっちゃいますよ」
「あのー、あと最後の人類学に付いて語る15分って言うのは…?」
「んー、…次回にしましょう。
 …えー、
 じゃ、そんな終わり方で」
と、いうことで23時20分に今回のイベントは終了。お客さんが退場する中、舞台にはエンドロールが流れる。今日のイベントの模様の写真がエンドロールにもう取り込まれている。BGMはタモさんのスキャット
 イベントは終了したが、チケットのオマケでDVDがもらえた。イトイさんと中沢さんがアースダイバー片手に東京の町を歩くところなどが収められているのでコレを見るのが楽しみ。家に帰ってからも楽しめるイベント。実に盛りだくさんだ。行ってよかった。
 ワタシはタモさんにヤラレっぱなし。なんなら中洲産業大学*1に入学したいぐらいだ。


 「ほぼ日」関連のイベントでは必ず講演や対談を記事に書き起こして「ほぼ日」紙上で連載すると思うので、興味があるかたは、そちらをぜひご覧ください。予告編的な対談も大変面白かったです(→こちら)。