ーOOO-点滴イタイ、コワイ

 いつも愉快な弊社なのだが、上司のおっちゃんが入院したことがあった。
 以下おっちゃんの話。


「いやもー、昔っから注射が苦手でサ。
 注射は勘弁してくれ、ってセンセイに言ったら
 『あなた、生きるか死ぬかの瀬戸際なんですよ?』
 なーんて言われちゃってサ。
 それで、点滴するだろ? 毎日抜いたり刺したり、針を一時間も二時間も刺しっぱなしにするってのが信じられなくてサ。勘弁してほしいよなぁ。
 『最近の点滴は針の部分を腕に刺したままにして、その先の部分を取り替えるようになってますから、抜いたり刺したりしないで平気です。痛いのは一度で済みますよ』
 あのね、そーいうことを言ってるんじゃなくてサ、なんか刺しっぱなしなのがイヤなワケ。腕にぷらんぷらんとさぁ。
 そしたらセンセイが、
『じゃあ、肩のところに点滴の針を刺しましょう』
って言うワケさ。肩というか首すじというか、柔らかい部分があるだろ? あそこに太い血管があるから、そこに刺すと点滴の薬の巡りもいいとか、いろいろ言うワケさ。どうせ一回刺さなきゃならないなら、まあ、やってみてくれよってことで、肩に刺してもらうことになったワケさ。
 それで、手術の日の朝な。
 センセイが、オレのベットのところに来たワケ。
 それも手術の時に着るような緑色のエプロンして、マスクして帽子かぶっちゃってさぁ。
 そいで、そんな手術のカッコした助手が2、3人、オレのベットの回りを囲んでさぁ、オレに緑色のエプロンを着させようとするワケ。
 手術は午後からだって聞いてたのに、朝からもう手術の準備なのかよ! こっちにも心の準備ってモンがあるだろうよ! と思ってさぁ、『あの、センセイ、今から手術ですか?』って聞いたら
『いえいえ、これはただの点滴の準備ですよ』
って言いやがるんだよ。
『首のところの血管は太いですから、点滴の針を差し間違うと血がピューッとすごい勢いで吹き出すことがあるんですよ。いえいえ、心配なさらないでください』
 おいおい、ジョーダンじゃねぇよ!」