ドラマ見てる人に原作本もオススメ

 うわっ、さっき白夜行って書いたら、いきなりアクセス増えてる〜。
 ウチのブログにしては珍しいくらいお客様が来るので、せっかくだから「白夜行」カテゴリを新設しました。よろしかったらご利用ください
 さらにさらに、せっかく白夜行カテゴリを新設したので、原作の白夜行を読んだ感想を。
 単行本が発売された時に読んだワタシの第一印象は「あんまり自分好みじゃないなー、面白くないなー」でした。
 ところが今ドラマを見ていると、コレがめっぽう面白い。原作は面白くないと思っていたはずのワタシが見て、面白いドラマだと感じる。すごい。ドラマ化に際して原作をなぞりながら打ち壊していく感じがすごい。
 で、感心すると同時に「原作を読んだあの当時の自分の目は腐っていたのかもしれない…」と反省して、ワタシは白夜行の文庫本を改めて買ってきて、読み直しました。
 ところがと言うかやはりと言うか、これがめちゃくちゃ面白い。読んでてズッポリとハマってしまった。一気にエンディングまで読み切った。んで、「やっぱあのころの自分は目が腐っていたのかな…」と反省したんですが、まてよと当時の自分の記憶を思い出しつつ、さらに改めて読み直すと。
 原作では。
 物語冒頭の事件の時に、主人公二人が何をしたのかは描かれていない。物語の最後に「こういうことだったんじゃないか?」という推理はあるんだけれど。で、主人公二人がどのような関係だとか、二人が何かを一緒にする場面といったようなものは描かれず、それでいて書かれてないのに二人が緊密である気配だけはビンビンする、という感じで物語がすすんでいく。
 読解力がなかった当時のワタシは主人公の心情、恋愛感情、犯罪の動機などが読み取れず、というかどんなヤツなんだかさっぱり絵が浮かばず、単に底なしの悪ガキどもが延々と悪事を重ねていく小説、としか読めなかったんですな。で、「この小説つまんなーい」と思ってしまった、と。
 ところがドラマでは。
 小説の中では語られなかったことを、ドラマでは丹念に補ってある。
 第一話から二人の出会いやあのとき何が起こったかを丹念に描き出している。二人の愛、共犯関係…そういったものを描き出している。そして亮司(山田孝之)は自分の心情をモノローグで語ったりする。
 だから今ワタシが小説を読むと、亮司は山田孝之の姿がダブるし、雪穂は綾瀬はるかの絵がダブる。シーンが心に浮かぶ。物語冒頭の事件の章を読めば、小説の中に描かれていない部分も、最後に明らかになる事実もドラマではいきなり描かれているから、読んでスッキリ頭に絵が浮かぶ。
 もともとこの小説は、ラストまで一回読んだ後でもう一度読み直すと鮮やかに霧が晴れていくような、そういうタイプの小説だったのかな。
 さて。
 で、白夜行のドラマ見てる人には原作本もオススメですよ。
 小説を読むことでドラマでは描かれていない部分を補うことが出来ます。ドラマは主人公を軸に物語が進行するときが多いけれど、小説は第三者が軸に描かれている。たとえば奈美江(ドラマの第四話の銀行員)は小説で読むとちょっとちがう印象なんですね。一段深く、哀れな悲しい女性だな、と思いました。とりあえずドラマ化されてる部分までサラッと読んでみてはどうでしょうか。
 んで、「ドラマのこの先がどうなるか気になるな」というヒトは、思い切って小説を最後まで読んじゃっても良いんじゃないでしょうか。ドラマは巧妙に原作を料理しているので、結末を知ってもドラマを見るたびに「ああ、この場面はこういうことだったのか」とか、「このとき二人はこんなことをしていたんだ」と、面白くドラマを見ることができますよ。