ーOOO-こがしみそ

 弊社は和菓子屋さんなのだが、今の季節の売れ線は柏餅なのだった。
 で、ウチのお店はふつうの「こしあん」のほかに、味噌を練り込んだ「みそあん」の柏餅がある。これはかなり味噌の味が強くて、クセがある。ワタシは最初は嫌いだったのだが、食べているウチにだんだんクセになってきて、やみつきになってしまった。
 使っているのはふつうの味噌ではなくて、和菓子用の味噌だ。塩味が控えめでいて、味噌の香りが強い。コレはお味噌汁にはちょっと合わないかも。
 で、その和菓子用の味噌を、砂糖を強く効かせた白あんと練りあわせる。
 このあんこを強火で練ると、砂糖が強いからすぐに焦げてしまう。かといって弱火で練ると、味噌に火が通らないので傷みやすいあんになってしまう。なかなか気難しいヤツなのだ。
 で、今日はちょっとワタシが目を離したスキに、みそあんに火が通りすぎてしまって、みそあんがいつもよりも赤茶色く焼けてしまった。
 失敗、というほどでもないのだが、やはり失敗感や残念感が高く、しょんぼり。
 だが、そんな焼けたみそあんを嘗めてみると、味噌の塩味がやや丸くなり、味噌のうまみがふくらんで、コレがまた美味いのだ。ケガの功名ってヤツ?
 考えてみれば、土手鍋はみそを土鍋のフチに塗りつけて、すこし焦がしながら溶かすようにして食べるから美味しいのだ。焼き味噌は味噌を焦がすから美味しいのだ。
 味噌というのは、少し焦がしてやったほうが香りもうまみも引き立つモノなのだった。
 ところで、じゃあなんで焦げたお味噌汁は美味しくないのだろーか? あと、なんで沸騰したお味噌汁は美味しくないんだろーねぇ?