ーＯＯＯ-塀の中の子猫

　いつも愉快な弊社なのだが、ここ何日かはにぎやかなことになっている。
　弊社の壁と隣のお店の間に、生まれたばかりの子猫がいるからだ。
　真上から見下ろすと、ちいさなちいさな生まれたばかりの子猫が５匹くらい、身を寄せ合うようにして丸くなっている。
　子猫は白い猫が３〜４匹と、黒猫が１匹だ。
　お腹がすいたり物音がしたりすると、途端に目が覚めてみんなでいっせいに「みゅぅ、みゅぅ」みたいな声で鳴く。その声が聞こえると、かわいいなあという気持ちが半分と、なんだか放っておけないようなソワソワした気持ちが半分とで、頭が一杯になる。
　子猫たちは壁と壁の狭いすき間に閉じ込められているように見えて、気の毒な感じ。みーみー鳴いている子猫をなでたりミルクをあげたりしたいが、子猫たちは弊社の壁の向こうの、隣のお店とその壁の間、１０センチほどのすきまにいるのだった。厳密には隣のお店の敷地の中。手が届かない。
　以前、ここに子猫が落っこって大騒ぎになったことがあったのだが、実はネコの身体なら出ようと思えば出られることがわかったので、そんなに心配する必要はない。
　人間が手を出すのは難しく、ネコは自由に出入りできる場所。それは、外敵から身を守ることができて安全に子育てをすることができる場所とも言える。
　お母さんネコもマメに出入りをしてミルクをあげているようで、ほんの何日かでみるみる大きくなってきた。
　弊社および隣のお店の人々が見守る中、ネコはすくすくと育っている。
　親子がいつまでここにいるのか分からない。元気で巣立ってほしいと思っているけど、しばらくここにいてほしい気もする。