ーOOO-ツマが氷か大根か
ホラ、居酒屋とかで刺身を頼んだときに出てくる刺身のツマの大根の千切り、あるでしょう?
あの大根の千切りが好きでねぇ。
モソッと自分の皿に盛ってきて、モシャモシャ食べるのが好きなのです。
口がサッパリして、口直しによい。あとジアスターゼの効果で胃もたれしない。飲んでるときにはもってこいの一品だと思うですよ。
あとココだけの話、冬なんかに鍋物を頼むじゃないですか。そういうときは、手元の取り皿にお鍋の汁を取って、そこに千切り大根をさっとくぐらせて、半煮えぐらいのところで食べるのが美味しいと思うわけですよ。
こんなに素晴らしい一品なのに、大人数で飲み会をやっていても、アレの取り合いにはならない。安心してワシッとひっつかんでモシャモシャいける。
でももちろんみっともないので、シロートにはオススメしない。
ところで先日の話。
知人と居酒屋に行った。ソコは初めてのお店だった。
とりあえずビールと、刺身の盛り合わせを頼んだ。
出てきた刺身の盛り合わせは、一面にうずたかく細かい氷を敷いた上に、申しわけ程度に大根がうっすらと敷いてあって、その上にきれいに刺身が盛ってあった。
氷の上の刺身。
どこか高級感あふれる感じ。見た目にも清涼感。刺身自体の温度も低く一定に保たれ、衛生的。
すばらしい。それはわかる。
けど、でも、オヤジのスダレハゲ程度に申し訳なさそうに盛られた大根は、やはりオヤジのスダレハゲと同じ程度にどこか寂しさを感じさせるのだった。
ここでちょっと考察。
氷の上に刺身を敷く、という一見コストがかかるコトを、なぜこの居酒屋は行ってるんだろうか?
氷の原価は水、電気代。
刺身のツマの原価は、大根だけ。
大根一本からどれだけの刺身のツマが取れるんだろうか? 大根1本300円としても、1人前10円かからない気がする。5円? 3円? ほとんどタダに近い気がする。
しかし、大根からツマを作るには、カツラ剥きして千切りにするという手間がかかる。つまり、人件費がかかると言うことだ。あるいは、千切りにされたツマ用の大根を買っていたかもしれない。これもそれなりに高そうだ。
それから、ツマ用に大根をストックしておかなければならない。大根は日持ちするとはいえ、お客さんの注文が来なければ在庫ロス、廃棄だ。
さらに、食べ終わった後に、たいていツマは食べ残される。このツマの廃棄に処分料がかかる。この問題が一番大きそうだ。
ツマに大根を使うには、大根を千切りにする人件費、大根の在庫ロスのリスク、廃棄時の処分料がかかる。
しかしこれが氷なら、機械が自動製氷してくれるし、在庫ロスの心配はないし、ゴミにならずに勝手に溶けて流れてくれる。
ツマに氷を使うことで、高級・清涼・衛生的でありながら、人件費・在庫ロス・ゴミ問題に悩まなくて良い、ということになる。
全く素晴らしいアイデアではないか、と感心した。
その日の大根のツマも、もちろん黙って全部オレが喰った。