ーOOO-あのころのワシ

 今回は父と二人で帰省なのです。
 高速道路を順調にぶっとばしながら、父とワタシで思い出話。


 家族四人で帰省していたころは、中古で買った愛のスカイラインに乗っていたこともあったっけ。
 アニキとオイラの指定席は後部座席で。
 東北道が全線開通してなかったからか、あるいはビンボーだったからなのか、高速に乗らずに一般道を延々と走って。
 ハシャギ疲れたアニキとオイラは後部座席で寝てしまって。
 アニキはシートに横になって。オイラはシートの足元にギュウギュウになりながら寝ていたっけ。
 後部シートの足元に横になる。前席と後席のわずかなスキマ。事故ればまず間違いなく死ぬだろう。また、後部シートの足元の真ん中を貫くようにドライブシャフトのデッパリがあって、真っ直ぐ寝れないしゴウゴウうるさいしで、イイこと無いのだった。
 んじゃあアニキが横暴でそんなヒドい目にあったのか? と言うと、そんな事はなくて。
 むしろ自分からすすんでシートの間にギュウギュウ詰めになりにいっていたオイラなのだった。
シートの座面は革風のビニールで、ジッとしているとベッタリしてヤな感じだったのだが、足元は絨毯なのだ。
ゴウゴウというドライブシャフトの感覚。
ソコは熱がこもるのか、なんとなくあたたかくて。
 コーとかザーというロードノイズ
 そういう音を子守歌がわりにして眠る。
 起きるとほっぺたがなんとなくジャリジャリしたりして。まあ足元のカーペットだしな。
 …我ながらアホすぎますな。
 しかし誰が何と言おうが、コレがオイラにとっての我が家のドライブの思い出で、しかも楽しい思い出だったりするのだった。わはははっ!


 アニキとワタシが車の中で起きているときは、何かくだらない、とりとめのないコトをやって時間を潰していた。
 あるいは… と言うかそしてと言うか、退屈すると、というワリに興味しんしんで父の運転の様子を見ていた。
 前席は運転席が父、助手席が母。その左右の席のスキマにアニキとオイラはギュウギュウとアタマを突っ込んだり、上からのぞきこんだりして、じっと父のハンドルさばきを見ていた。
 フロントガラスを流れる風景。ハンドルさばきにシフトレバーさばき。あの頃はマニュアル車が普通だったからなぁ。
とはいえ、ガツンガツンと上手にアップ、フォンフォンとダウンするのは凄く不思議。大人になったら、こんな難しいことが自分に出来るようになるんだろうか?でもなりたいなぁ、と思った。
 はじめて高速道路に乗った時は、いつもと違う感じに緊張感を覚えたものだ。
 80キロで流れる風景はいつもと全く違う。興奮と恐怖を覚えた。
 じっと景色とスピードメーターをにらめっこして、
「おとーさんおとーさん、81キロだよ!」
「スピード違反で捕まっちゃうよ!」
とか大騒ぎ。
 100キロ出すと、当時のクルマはキンコンキンコン言う装置がついていて、キンコンキンコンチャイムが鳴りっぱなしになる。
 その、なんてことないチャイムの音がどうしようもなく怖くて、
「100キロだよ!?100キロだってばオトーサン!」
「怖いよう怖いよう!」
「わーん!(泣く)」
とかやったりしていました。
 我ながらコドモだったのう。


 まー、ワタシも今じゃ愛車のマニュアルのロードスターをフツーにのりこなしてますし。今日は今日とて、実家のオートマの軽自動車に乗って、高速道路を凄いスピードでぶっとばしていたりするのだった。
 まーそんなモンだよ。わっはっはぁ。