ーOOO-tokyosanpo

 こないだは「転々」という映画を見てきたですよ。

 時効警察三木聡がカントクで、オダギリジョーが主演ということで、まあそういったテイストにあふれた作品です。
 「大学8年生の主人公が、ふとしたことから借金取りと二人で東京を散歩することになるのだが…」というお話。
 ゲラゲラ笑えるのに、ふとしんみりする。そんな作品でした。
 映画と小説ではけっこう違いそうな感じがする、というか映画の出来の良さが自然だったので、原作の小説がどんな話だったのか気になってます。こんど読んでみようっと。
 ワタシが映画の紹介をしようと思うと、どうしてもネタバレになっちゃいそうなので、書かないようにするのが大変ですな。書きません、書きませんよっ!
 なぜならオススメ映画だからなのでした。


 この映画で主人公の二人は秋の東京の街を歩きます。
 東京には緑が多いなぁと思いました。で、その緑の中に銀杏だの紅葉だのがいっぱいあって、道路には落ち葉が敷き詰められていて、街が秋めいているんですよね。
 コンクリートジャングルを歩いていても、差し込む光がボンヤリと赤い。黄昏の街というか、何処を歩いていても隠しきれないくらい「秋」って感じが画面から伝わってきました。


 渋谷のアミューズCQNで映画を見終わってロビーに出ると、そこにも秋が。
 ビルの8階にある映画館なんだけど、ロビーの後ろがガラス張りになっていて、そこから裏の公園の景色が一望できる。
 ぐわーっと、紅葉。
 映画の終わった後の気持ちをかかえたまま、しばらくボーッと公園の紅葉を眺めていました。
 渋谷の街中なんだけど、こんな公園があるんだなぁ。
 あ、そういえばちょっと歩けば代々木公園なんだっけ。
 その日は渋谷の街に用事があるわけではなかったので、逆方向に歩いて代々木公園に向かいました。
 
 ちょっと歩けば公園の中。
 いつか来たことがある記憶の点と点をむすんで、線にして。そうか、ココ、こんなに近かったんだな。再発見。
 
 映画館で見た東京の街と違って、いまのホントの東京の街は、あっという間に日が暮れてしまう。
 どんどん暗くなっていく。
 だんだん寒くなっていく。
 
 池の前で、ぼーっと噴水を眺めていた。
 噴水は高くなり、低くなりした。
 空はいよいよ暗くなり、白い噴水の水しぶきはシルエットになり、やがて噴水は真っ黒になった。