ーOOO-あのひとのこと
アレは去年の秋のことだった。
オフ会方面の知り合いのお笑い芸人さん、マリーゴールドさんがライブに出るというので、見に行ったことがあった。
十数組のブレイク前のお笑い芸人さんたちと、その他に三組の音楽バンドが出演。「お笑いも、音楽も」みたいな感じのイベントだ。ブレイク前の芸人さんから、ブレイクはまだまだ先のような芸人さんまで。いろいろあって、けっこう見応えがあって楽しかった。
んで、その日2組目のバンドのヒトが気になった。
ボーカルはかわいい女の人だったのだが、なんか全体的に楽しそうに「♪うーうう、ううううううー」みたいな感じで歌っていた。上手いとか下手とかじゃなくて、楽しそうな感じ。
んで、曲間のMCで「今度CDが出ましたッ!」とかいって、♪じゃーん、じゃっ、じゃっ、じゃーん♪ わー、どんどんぱちぱちぱち。みたいなことをやっていた。
なんかあんまり楽しそうだったので、バンドのCDを買っていこうかと思ったのだが、一緒に行った某さんが
「いやー、べつに、今日はマリーさんの応援ってコトだし、ソコまでしなくて良いんじゃないですかぁ〜?」
と言うので、「それもそうかなあ、まあ、ライブのムードに乗せられちゃっただけで、曲が聴きたいワケじゃないしね…」と思い直して、買わずに帰った。
しかしバンドのチラシを見て、バンドの名前だけは何となく覚えて帰った。
その名を、「川上未映子バンド」と言った。
今年に入ってから、書評などで川上未映子という小説家のことを知った。
「あれっ? この人、あのときのバンドのボーカルさんかな?」
プロフィールを見れば、バンドをやっているとのこと。写真の顔にも何となく見覚えがある。
いや、まさか? でもまさか?
とか思っているうちに、川上さんは芥川賞にノミネートされ、そして見事に第138回芥川賞を受賞なさったのだった。
いやー、ビックリだねぇ。
芥川賞とか直木賞っていうと、今までは(っていうかフツーは)自分が読んだことがある作家さんがノミネートされるとハラハラする、みたいな感じじゃないですか。
でも今回の芥川賞では、知り合いのあの人が芥川賞にノミネートされて、受賞した! みたいな「近さ」と「うれしさ」があったですよ。
あ、別に知り合いじゃないんだけどさ…。でも知り合いって言うか、なんていうか、ね?
んで今、芥川賞効果で川上さんのCDは飛ぶように売れているのだとか。
やっぱあの時、一枚CDを買っときゃ良かったですよね? > 某どの
でも今でも実は「あの時のバンドの川上さんと、芥川賞の川上さんは別なヒトなんじゃないか?」とも思ってたりなんかして。むぅー。