ーOOO-「クイズ日本のしきたり」

 笑っていいとものコーナーで、ワタシが今期一番好きなのは、月曜日の「クイズ日本のしきたり」だ。
 劇団ひとり演ずる謎の中国人『ウォンさん』が司会で、日本に古くから伝わるしきたりをクイズ形式で考えていく、と言うコーナー。だけどタモリをはじめとする回答者の面々は、マジメにコーナーを進めるつもりがないらしく、ツッコンだり揚げ足をとったりでなかなか話が前に進まない。時間の関係でコーナーは尻切れトンボで終わったり、あるいは丸ごと無くなってたりすることもしばしばだ。
 劇団ひとりの必死さと、レギュラー陣のやる気の無さ。
 この温度差・ズレッぷりがワタシのツボで、コーナーが始まるとついニヤニヤしてしまう。


 このコーナーでのレギュラー陣のツッコミの角度は、他のコーナーとちょっと違う。
 自分が出演者であることに無自覚なような、あたかもテレビを見ている視聴者であるかのような立ち位置からツッコミを入れている。芸人らしい気の利いたツッコミではなくて、反射神経で「あ、言い間違えた!」とかツッコミを入れる。見たまんまのツッコミ。
 テレビの前の視聴者が「あ、劇団ひとりが言い間違えてる」とツッコミたくなった瞬間に、テレビの中の誰かが視聴者の代弁者としてツッコむ。
 それに対して劇団ひとりがリアクションを返す。
 このやり取りにハマると、自分がテレビに参加しているような、不思議な感覚が生まれる。


 ちょっと別な話。
 笑っていいともが始まったとき、初代プロデューサー横澤彪タモリによく言ったのが、
「キチンとするな」
 そのココロは、
「キチンとしてると飽きるから」
 これはつまり、

  • キチンとやっていると出演者が飽きるから。
  • キチンとした番組は毎回見ていても変化がない。だからキチンとやらないことで番組にハプニング性を持たせ、次はどうなるのかという視聴者の興味を引きつける

といった意味があったようだ。
 この点から考えると「クイズ日本のしきたり」は、実に「いいとも的」なコーナーだとは考えられないか?


 もしもこのコーナーがキチンとしていたらどうだろう?
 スーツを着込んだ劇団ひとりが真面目な顔で、フリップの隠された部分の紙をはがしながら生活豆知識を披露していくようなコーナー。
 こうなっちゃうと「午後は○○おもいッきりテレビ」でみのもんたがやってたのと同じになってしまう。(これはこれでヘンで面白そうだけど、ソレは置いておく)
 おもいッきりテレビの「手を変え品を変え、でも毎日変わらない感じ」が退屈で退屈で見ちゃいられないから、ワタシは笑っていいともを見ているのだ。
 このコーナーは「おもいッきりテレビ」のいいとも流パロディととらえることも出来る。


 ま、長々書いたけれど、きっとこのコーナーは4月以降まで続くことはないだろう。
 ちょっとスペシャルなゲストが来たらこのコーナーが吹っ飛んでしまう。
 だから今日見たのが最後になるかもしれない。
 もう二度と見られないかもしれない。
 そう思うと、ほんの2分ほどのコーナーがとても待ち遠しいし、いとおしいのだった。