ーOOO-はいってます

 仕事の帰りにスポーツクラブ。
 チェックインを済ませ、スタジオ横の廊下を通り、マシンジムを抜け、ロッカールームへ向かう。
 ロッカーを開けると、そこにはクシャクシャになったパンツがあった。
 誰かの忘れ物だ。
 この忘れ物をどうすべきか?
 やはり、フロントに届けるべきだろう。
 しかし、誰のモノともわからない使用済みのパンツを手に取るのは、精神的に高いカベがあった。
 そしてそのパンツを片手に、マシンジムを抜け、スタジオ横の廊下を通り、カウンターに向かうのはカナリに恥ずかしいと思えた。
 さらに、カウンターのうら若き女性に、パンツを見せるのはモーレツに気恥ずかしい気がした。
 このような感じで今後起こりうる事態や困難について、わりと一瞬で、かつかなり詳細にワタシは思い浮かべてしまった。
 どうしよう。


 ワタシはロッカーの扉を閉めた。
 そして別なロッカーを使った。


 それから3時間後。
 帰るときになってパンツのことを思い出した。
 例のロッカーを見たら、誰も使っていなくてカギが開いていて、中にはまだパンツがはいっていた。
 その隣のロッカーは使用中だった。
 その隣も、その隣も、というかロッカールームは混雑していて、空いているロッカーは少なかった。
 忘れ物のパンツを見て、みんなワタシと同じようなことを考えたんだろうなぁと思った。