ーOOO-通勤電車男

 いつも愉快な弊社で陽気に仕事をしながら、通勤電車の話になった。
 電車通勤のワタシとSさんとYさん、それから自宅から会社まで通勤時間徒歩10分の後輩くんと入り交じってしゃべってるので注意。
「昨日は忙しくて疲れちゃって、帰りの電車の中で寝過ごしそうになっちゃってさー」
「座った瞬間、寝ちゃうときありますよね」
「ヤバいなーと思ったときは、座んないで立ってるよ」
「いやー、眠い時は立ってても寝ちゃうだろ? うつらうつらして、ビクッと起きるとカッコ悪いんだよな」
「イスに座ってると、ゴトンゴトンいう揺れがキモチいいんだよな、アレで寝ちゃってな…」
「寝過ごしそうになっちゃう程度なら良いけど、気がつくと寝過ごしてるとき、あるよな」
「よーし、つぎの駅で降りるぞーと思ってて、まばたきしたら3つぐらい先の駅だった、とかな」
「自分がいっちばんヒドかったときは、ガマンして起きてて、降りる駅について、ドアが開いた瞬間を覚えてるんだけど、気がついたら隣の駅だったことがありますね」
「いやいや、それは無いでしょ、常識的に考えて」
「いやいやいや、あったんだってば。駅について安心して、それでフッと寝ちゃったんだな」
「フッと目が覚めたら『降りる駅だった!』って気がついて、スレスレで降りるときってあるよな」
「セーフセーフ! みたいな」
「居眠りしてても意識はしっかりしてんじゃん、とか思ったりするよな」
「あ、そういう『自分が降りる駅だ!』って気が付いた時は、ドタバタするとカッコ悪いんで、逆にあきらめちゃって、あえて乗り過ごすことがありますよ」
「カッコ悪いって何すか? わっかんないなー」
「ドタバタするとカッコ悪いんだってば」
「そうだよ、カッコ悪いんだってば」
「あわてて降りようとして立ち上がって、荷物をまとめてバッと走っていって、ドアが『プシューン』っと閉まっちゃうと、最悪だよな」
「元の座る席が残ってないとか」
「残ってたとして、元の席に戻るのもカッコ悪いだろ?『あーあのヒト乗り過ごしちゃったんだー。クスクス』とか思われるだろ? 恥ずかしくて元の席に座ってられないね」
「恥ずかしいからオレなら隣の車両に移動するね」
「あと、帰りの電車だから、同じ電車の中に近所のヒトとかが乗りあわせる可能性があるだろ、見られてたら最悪だろ?」
「あー、電車通勤って、大変スねー…」
「大変だよ」
「大変なんだ」
「大変なんだよ」