ーOOO-うなたま

 今月に入って近所の牛丼屋が「うなぎフェア」みたいなのをはじめたので、ワリと熱心に足を運びがちな拙者だ。
 みんなが「牛丼!」「牛丼!」って言ってるときに、ひとり「うなたま!」とか言うと
「お、あいつ、ウナギだよ…」
みたいな視線を浴びるような浴びないような、そういうトコが実によろしい。


 牛とウナギを半々に載っけたようなヤツもメニューにあるのだが、そーいうんじゃなくて拙者は「うなたま」一筋だ。
 出てきたら、最初の数口ぶんは普通にウナギとご飯を味わうことにしている。安っぽいウナギの脂っこさを存分に堪能する。
 サイドオーダーで頼んだ味噌汁を一口。口の中に残った脂っこさをすすぎつつ、おもむろにウナギ全体に箸を入れ、細かく分けてやり、ご飯とまんべんなく混ぜてやる。ひつまぶしっぽくしてやるわけだ。
 この作業を丹念に行なってやることで美味さが増すわけだが、作りながらも口寂しくなってときどきつまみ食いしたりして、それも美味しいものだ。
 十分念入りにウナギとご飯を混ぜ合わせたら、ここではじめて山椒を取り出し、全体にまぶしてやる。このとき、山椒をテキトーに振りかけるのがコツだ。
 何でかって言うと、山椒にムラがあると一口ごとに「お、山椒っぽい!」とか「お、ウナギの味が濃厚!」とかいう感じになって、食べ飽きないでしょ? って本上まなみがメントレで言ってました。コレはもちろんキチンとしたウナギ屋さんのウナギの食べ方について本上さんは語ってたわけですが、「味にムラがあったほうが、食べていて楽しい」っていう感覚はちょっと面白いですよね。
 さてお話戻って。
 がんばって作ったひつまぶし状のヤツを何口か味わった後。ここでいよいよ半熟卵を割り入れてやりまする。ポンとのせて、黄身を軽く箸で崩す程度にして、完全にかき混ぜない状態にするとこれまた味のムラが楽しめる。
 しょせんは牛丼屋のウナギ。やっすいウナギをごまかすために、甘ったるいタレがデロデロ塗ってあるのだが、そこに半熟卵を割り入れてぐっちゃぐちゃに絡めてやると、この甘さが丁度良くなる。
 ウナギ自身の持つ「脂っぽいコク」に、半熟卵の「濃厚なコク」が加わって、味わいはいっそう深くなる。
 最後にここで、サイドオーダーの白菜のお新香を少し混ぜてみたり、ほんのちょっと紅ショウガを乗せてみたり、ウナギに七味をパラリと振ってやったりしてみても面白い。牛丼屋のウナギだということをポジティブに捕らえて、「ホントのウナギ屋さん」では出来ないような味にチャレンジしてみるべきでしょう。


 んで今日牛丼屋に行ったら「ウナギ全品50円引き!」とか書いてあったですよ。
 「おっ、庶民の味方だね♪」なーんて、うれしくなりながらうなたま丼を頼んだですよ。
 量が減ってたですよ。
 ウナギが小さくなっていて、ソレをごまかすためにライスも減っていて、全体的に貧相な感じになっていたですよ。
 50円引きっつーか、50円分以上少なくなったんじゃないかなー? とさえ思ったですよ。
 なんかスゲーガックリしたので、うなぎを混ぜたりせずに、普通にモソモソ食べてサッと帰った。