ーOOO-興味津々、DELL Inspiron Mini12
今年はモバイルノートPC市場というかネットブック市場というか、非常に低価格のノートPCが話題を呼んでいます。
そんな中で今週10月27日に発表され、10月29日に世界で最初に日本で発売されたばかりの「DELL Inspiron Mini12」に、早速さわってきましたのでそのレポートをさせていただきます。
今回もまた例によってAMNさんのブロガーイベントということで、川崎にあるDELLさんの本社にお邪魔してきました。
数あるネットブックの中で、今回発売されたDELL Inspiron Mini12の大きな特徴は、以下の通りです。
- 12インチワイド、1280×800ドットの大きな液晶画面
- ネットブックの中で現在一番広い
- デュアルコアCPUのIntel Atom Z520/530
- ファンレス動作
- キーピッチ17.5ミリのキーボード
- 他のネットブックはキーボードがもっと小さい
- 軽量、薄型
- 重量1.24キロ、薄さ23.3〜27.6ミリ
- 生活防水
- キーボードにちょっと水をこぼしても大丈夫
- 値段は89800円から
- 他のネットブックよりもやや高い
つい先月発売になったばかりのInspiron Mini9は、9インチ液晶。
そして今回発売になった12インチのInspiron Mini12です。
パッと見て大きさの違いがわかるかと思いますが、
せっかくですので、3つのノートPCを重ねてみました。
上から順に
- Inspiron Mini 9
- Inspiron Mini 12
- Studio 1536 ※15インチ液晶のノートPC
3つ重ねた状態で横から見たところです。
まんなかのInspiron Mini12の薄さが伝わるでしょうか?
本体裏部分。フラットな形状です。
デルの担当の方いわく、
「カタログでは本体の薄さは23.3〜27.6ミリと書いてありますが、本体の裏面に厚いゴムの足が付いているので、これを考えなければ薄さ約20〜24ミリということになります」
横から見たところ。
キーボード手前に向けて先すぼまりのデザインなので、机の上に置くとかなり薄いマシンに見えます。
さらに、閉じた状態のキーボード手前部分からの1ショット。
いやあ、薄いマシンだなぁ… と感心していると、他の参加者の方が
「コレ、閉じる部分のロック機構がないでしょ」
あー、ホントだ。
「ロック部分があれば、ボタンを押してパネルを開いてやる形になるんだけど。ロックボタンがないと、閉じてるマシンを開くときに液晶の角の部分を持って開くでしょ? この瞬間って、液晶パネルがねじれる状態になるから、パネルにはものすごい力がかかるんですよね」
なるほどねー。
「それから、周りのパネルは金属のようにピカピカした質感だけど、これプラスチックですよね? やっぱ、コストをケチってるなぁ。それに黒い部分なんかあからさまにプラだし」
んー、安っぽい、かなぁ? 『ノートPCはダイキャスト成型!』と思っていると、さわった瞬間にガッカリするだろうけれど。でもプラであることは確かだけれど、安っぽくはないと思うなぁ。
ってか、この機種は「なるべく安価に提供して多くのお客様に届けたい」っていう方針なんだと思うし、まあこれはこれでありなんじゃないかな。
キーボードについて
多くのネットブックはその小ささから、キーボードの大きさにも制約があります。
Inspiron Mini9のキーボードも、左右端を見ると無理矢理配置したっぽい苦しさがあります。
しかしInspiron Mini12では、通常のノートPCと同等のキーボードを備えています。
そして打鍵感なのですが、悪くはないけどちょっと安っぽいかなぁ、という印象です。
ここから先日のレノボさんのThinkPadに関するプレゼン資料を引用しながら説明を。
キートップが広く真四角で、キーの淵が直角に落ちてるキーボードは、打鍵中に他のキーに指が引っかかります。
また、キーは中心をくぼませてやると、打鍵中に自然と指がキーの真ん中に落ちていきます。
余計なキーをさわる心配もなく、中心で押すことで心地よい打鍵感が得られます。
キーの中心をへこませて、キーの淵に角度を付けキートップをやや小さめに。
こうすることで心地よい打鍵感が得られるのですが、
「他社がコレをやらないのは、結局コストの問題なんですよね」と、レノボのキーボード博士。
Inspiron Mini12のキーは、真四角で真っ平らなキーボード。
こういうキーボードにしたのは、結局コストの問題。
ただそれは、メーカーが手を抜いているというわけでは決して無くて、「このスペックを盛り込んで、お客様の手の届く値段で提供しよう」という着地点を目指す中で、あえて妥協した部分。
すべての部分に最高の素材を使い、最高の設計を行ったのでは、この値段でこのPCを買うことはできなくなってしまう。
メーカーは、商品を安くお客様に提供するために、あえて妥協しているのだ、とワタシは考えます。
今回のDELLさんでのイベントには、先日のThinkPadのイベントにいらした方も多く、またそうでない方でもノートPCにはこだわりの多い方がたくさんいらしていて辛口のコメントが多かったので、こんな書き方になりましたが。
でも他のネットブックと比べると、Inspiron Mini12のキーボードは格段に使いやすいです。
キーピッチがふつうのノートPCと同等の広さなので、我慢する部分や窮屈な部分がありません。というか、フツーに良いです。
購入すればキーボードは毎日必ず手で触る部分なので、気になっている人はぜひ一度どこかのお店でさわって感触を確かめてみることをおすすめします。
XPについて
このInspiron Mini12はWindowsVista搭載です。ビスタじゃなくてXPならもっと快適なのになぁ…とは誰もが思うところです。
参加者の方が「XP搭載でないのはなぜですか?」と尋ねたところ、
「Inspiron Mini12では他機種では使っていない新しいチップセットを搭載しています。このチップセットのドライバが現在Vistaにしか対応していないので、それでVistaモデルのみ発売となっています。将来的にはXPモデルやUbuntuモデルも準備したいと考えております」
と、デルの方は語っていました。
(追記 2008年末にXPモデルも用意されました)
個人的なまとめ
さてさて、個人的なまとめです。
AtomノートのThinkPadが欲しい欲しいと常々思っているワタクシですが、結構いいですな、コレ。かなりにいい線いってます。
個人的に「Atomノートは低価格」みたいなイメージがあるので、そこから考えると89800円のこのマシンはちょっと高いです。これだけの値段を出せば、DVDドライブ付きの廉価で重量級のノートPCが買えちゃいますからね。逆にいうと、これ以上に高機能で高品質なAtomノートって、メーカーさんは開発してくれないんじゃないかという気がします。
まず液晶が実用的な広さです。それから、薄くて軽い。持って歩く気になれます。
ネットブックにありがちなのが、「安価なんだけどキーボードが打ちづらい」っていうのがあるじゃないですか。無理してキーボードの打ちづらいマシンを買っても仕方がないですよね。その点、デルのこのInspiron Mini12は窮屈さが無くて程々の打鍵感のキーボードを装備しているので、買うならコレはアリかなーと思いますです。
「バッテリー稼働時間がもっと長い方がいい」とか、「HDDをもうちょっと大容量で」「HDDじゃなくSSDを」「もっとカラフルな外装を」みたいな不満って、交換すれば何とかなったりする物じゃないですか。でも、キーボードのキータッチは簡単に変えられる物じゃありません。薄さ、軽さもユーザー側でどうにかできることじゃありません。
そういう、個人的にノートPCに求める「本質」はきちんと押さえてあるので、このInspiron Mini12はなかなかすばらしいマシンじゃないかなー、と思います。
んで、最後にデルさんに望みたいこと。
この機種の通販が始まったら、ぜひ「いまならオンラインクーポンで**%オフ!」「さらにインターネット割引で*%OFF!」みたいな景気いい豪快な値引きキャンペーンをガンガンやって、オレのハートをグラグラさせてください。お願いしまーす♪
追記
2008年末に豪快な値引きが行われて、一例としてAtom Z530(1.60GHz)、メモリ1GB、80GB HDD、12.1型WXGAワイド液晶、XP Home(SP3)を搭載したプラチナパッケージの価格は64,980円となっています。
こちらの記事によれば、mini12のメモリはマザーボードの基板上に半田付けされされているので増設不可能。また、HDDは1.8インチ・5ミリ厚のPATA(ZIF)だそうです。