ーOOO-看板を背負うということ

 ここは「あんだんご」という名前のブログではあるけれど、あんだんごについて記事を書いたことは、ほとんど無い。
 それにはいくつか理由がある。


 自分は和菓子の職人で、自分の店で作るあんだんごは美味しいと思っている。
 でも世の中にはいろいろなだんごがあり、それぞれの美味しさを持っているから、ソレに比べて「自分の作るだんごが一番美味しいんだ」とは言えないものなのだった。
 もし自分がだんごについて記事を書くならば、自分の店のだんごについてだけ書く、ということはしない。
 いろいろなお店のだんごを食べ比べて、それにコメントを付けるような記事を書きたい。
 それも、「うまい、まずい」ではなくて、「このお店のだんごはこういう主張を持っていて、だから美味しい」みたいな、「このだんごのおいしさの秘密は何か?」について、記事に出来たらいいなぁと思っている。
 記事を読んだ人が「ケーキも良いけど、たまにはだんごを食べてみようかな」と思っちゃうような、だんごのファンが増えちゃうような、そういう記事を書きたい。
 それについては、またいずれ。


 ワタシはだんごの「あんこ」を練っているのだが、責任者は自分なので、味の決定権は自分にある。
 もちろん、昔から伝わる製法で作っているけれど、完全に同じにはならない。
 この感じ、何に例えれば良いだろう?
 たとえば、家で炊くごはんは、いつも同じレシピのはずだけれども、美味しくないときもあれば、馬鹿に美味しく炊ける日というのもあるだろう。
 ごはんでさえ、そうなのだ。
 お店の味の決定権は自分にあり、つまり今、ワタシは会社の、老舗の看板を背負って立っている。


 まずいものを出しているつもりは全くないけれど、
「今日もいつもと同じ味が出ているだろうか?」
「世間では甘さ控えめがウケているけれど、甘さを控えた方がいいんだろうか?」
「この味で本当に大丈夫だろうか?」
 悩みの種は尽きない。


 自分は「コレは美味しい」と思っていても、お客様が「美味しくない」と思えば、意味がないのだ。
 自分が美味しいと思うものは、本当にみんながたべても美味しいものなのだろうか?
 自分の舌は、確かなのだろうか?
 そういう不確かな、あやふやな自分が、会社の看板を背負っているというのは、たいへんなプレッシャーなのだった。


 そんな時に出会ったのが、ニッカウヰスキーのチーフブレンダー、久光哲司さんだったのでした。
 (→続く)


 11月18日に開かれたニッカウヰスキーさんのイベント「シングルモルト余市1988」の試飲会にご招待いただいたときのお話を書くつもりなのですが、ちょっと脱線しております。


 で、ちょっと先に告知から。
 ニッカウヰスキーの「シングルモルト余市1988」が、2008年11月26日に発売になります。
 昨年発売になったシングルモルト余市1987は、ワールドウイスキーアワードのシングルモルト部門で世界一に輝きました。
 そして今回発売になる余市1988も、大変美味しいウイスキーとなっています。
 全国限定3500本、うちWebでは先着順で限定600本が販売されます。
 お申し込みは以下のページからどうぞ。


 また、表参道の「ニッカブレンダーズバー」では、11月21日金曜日の夜20時から、「シングルモルト余市1988」発売前のプレミアム試飲会が開かれます。担当のチーフブレンダー久光哲司さんもお見えになるそうです。
 もう今夜ということなので時間がありませんが、貴重なチャンスですので、興味がある方はニッカブレンダーズバーさんへ直接お問い合わせください。