ーOOO-道路の渋滞はなくなる! のか? …「全力案内!」

 先日ワタシは「全力案内!」という携帯電話用のナビゲーションシステムのセミナーに行ってきましたよ。

 この「全力案内!」は株式会社ユピークリングさんの提供するサービスで、約1年前に開始したばかりなのですが、DocomoauSoftbankの3大キャリアに対応し、つい先日はiPhoneにも対応したのだそうです。
 この全力案内!のナビの特徴は、

  • はやい…早く着く
  • うまい…到着予想時刻が正確
  • やすい…燃費が良くなる

ということなんですが、はてさていったいどうしてそんなことが可能なんでしょうか?
 交通の渋滞回避に関する研究を20年続けておられるという、野村総研主席コンサルタント佐藤英夫さんに話をうかがいます。
 
 佐藤さんはこの道ひとすじ20年、渋滞情報や交通情報の権威なのですが、大学で講義をしていると、学生が
「渋滞が本当になくせるとは思えない」
と言っていることに大変おどろいた、といいます。
「学生たちは、生まれたときから道路は渋滞しているのが当たり前だと思っているので、道路が渋滞していることに全く疑問を持たないし、渋滞がなくせるとは思っていないようです」と佐藤さんは話します。
 しかし逆に言えば、佐藤さんは「渋滞をなくせる!」という信念で研究を続けているわけです。
 従来型の交通情報システムと、この「全力案内!」では何が違うのか?
 そのへんのお話を進めてまいります。

従来のカーナビの交通情報は、どうなっているのか?

 従来型のカーナビでは、全国の道路管理者が道路に取り付けた固定センサーから交通情報を取得していました(VICS)。
 しかしこのセンサーは、すべての道路に取り付けられているわけではありません。日本全国の道路の総延長は182万キロ、そこから細い道や生活道路をのぞいた交通情報を提供して良い道路は83万キロ。そのうちの高速道路と幹線道路の一部の約7万キロにしかセンサーは設置されていません。
 交通情報を提供できる83万キロの道路のうち、VICS情報が提供されているのはわずか8%にすぎないのです。


 渋滞しているときは抜け道を探したいと思うモノですが、VICSがカバーする道路はまだまだ少ない。周辺道路の混雑状況がどうなっているのかという情報はなかなか得られません。
 このため、多くのドライバーは渋滞を回避することをあきらめ、しかたなく渋滞した道路をノロノロと走り続けているのが現実なのです。


 これを回避するには、道路にもっとセンサーの数を増やせば良いわけです。
 しかし、これには大がかりな道路整備が必要です。国の税金を使うことになってしまいます。*1


 さて、「全力案内!」では、これらの問題をどのように解決していくのでしょうか?
 といったお話は、また次回と言うことで。(→こちら)

*1:ちなみに、このVICS情報を集めて配信するシステムの維持にも、やはり国民の税金が使われています。こうして国民の税金を使って集められたVICS情報の使用料は、実は無料ではありません。カーナビを買うときの端末価格の中に、VICS情報使用料が含まれているのです。また、民間の交通情報サービスがVICS情報を利用するときも、情報の使用料を支払っているということです。