ーOOO-渋滞の抜け道は、タクシーの運転手さんに聞け!…全力案内!
っつーことで、前回書いた携帯カーナビゲーションシステム「全力案内!」のお話の続きです。
現在のカーナビでは、道路に埋め込まれたセンサーからVICS交通情報という渋滞情報を得ているが、これは全体の7%の道路しかカバーしていない…というのが問題点でした。
この点を、「全力案内!」はどう解決したのでしょうか?
タクシーのリアルタイムデータを生かす!
現在のタクシーの多くは、デジタル無線による配車システムを取り入れています。
あるタクシーがどこを走っているかは、リアルタイムにタクシー会社の本社が把握することが可能です。これにより、お客様から電話があったときに、もっとも最寄りを走行しているタクシーに直接指示を出して配車することが可能なのです。
全力案内では、提携した全国13000台のタクシーから、このリアルタイムのタクシーの位置情報をもらっているのです。
あるタクシーがある道路をどれくらいの速度で通過したのか、これによって道路の渋滞ぐあいをリアルタイムにキャッチすることができます。
タクシーの運転手さんは裏道に詳しいです。お客様を一刻も早く目的地に届けるために渋滞をさけ、幹線道路ではなく裏道を走ることが多いモノです。
このため、幹線道路の渋滞情報は従来のVICS交通情報から得て、裏道の渋滞情報はタクシーから得るという役割分担ができて、カーナビには好都合です。
また、このデータは日々蓄積されていきます。
たとえば、朝は登り車線が混むけれど、夜は下り車線が混む、とか。あるいは週末の金曜日の夜はこの道が混む、とか。
この過去のデータと実際のリアルタイムデータを照らし合わせることで、
「予想よりも到着予定時刻が遅い→その道路で事故発生?」
などという情報を得ることができます。
これらのデータがリアルタイムに交通情報に生かされています。
こうして得られた道路の渋滞情報は膨大なものになります。
従来型のカーナビでは、車に積んだカーナビ自身がルートを計算しています。しかしこれでは計算速度や性能に限界があります。
従来のカーナビよりも広範囲な道路情報、渋滞情報を生かすために、全力案内!は強力な大型コンピュータを用意し、そこで計算した結果をユーザーの携帯電話に送信しています。
近道を選択するから、早く着く!
さて、渋滞を回避して裏道を抜ける、というとどんなイメージを持ちますか?
くねくねした細い道を通るんじゃないかな?とか。
あるいは、渋滞には巻き込まれないけれど、なんだか遠回りさせられそうだなぁ…とか。
しかし、「全力案内はちがいます」と、渋滞学の専門家の佐藤さんはおっしゃいます。
そしてはっきりと、こう言い切ります。
「全力案内は、近道を選択するから、早く着くんです」
従来型のカーナビでは、VICS交通情報を参考にして渋滞情報を得ています。
この関係で、まず出発地点から最寄りのVICSが設置された道路に案内されます。
そこからVICSの設置された路線を縫うようにしてルートが設定され、最後にVICSの区間から離れて目的地に到着するということになります。
先に述べたように、全国の道路総延長182万キロのうち、VICSが設置されているのは7万キロにすぎません。
従来型のカーナビは、最短距離を計算しているわけではなかったのです。
全力案内では、タクシーから得た情報を生かし、裏道の渋滞情報も把握しています。
さらに、「裏道」とはいっても、生活道路や幅の狭い道路は除外し、道路幅5.5m以上の道路、83万キロの区間だけをルートとして紹介しています。
実際に全力案内と、VICS情報を生かした携帯ナビ、そして幹線道路を情報なしで走り、実験したそうです。
カーナビなしの場合と比べ、平均で19%早く目的地に到着。
そして他社のナビと比べると平均で15%早く到着したそうです。
これはもっとも他のナビと差が出た場合の実験結果です。
車種 | 所要時間 | 走行距離 | 平均時速 |
全力案内! | 36.2分 | 15.2km | 25.2km |
他のナビ(VICSのみ) | 57.1分 | 16.2km | 17.0km |
基準(情報なし) | 54.3分 | 15.6km | 17.2km |
全力案内の場合の走行距離の短さと、平均時速の速さに注目してください。
この走行距離の短さと平均時速の速さは、燃料代に関わってきます。走行距離が短ければ燃料を使いません。また、渋滞などにハマっているよりは、適度なスピードで走った方が燃費は良くなります。
全力案内!を使うことで、目的地に早く着き、しかも燃料代を節約することができるのです。
キリのいいところで今回はおしまいですが、このお話、もうちょっと続けますね。