ーOOO-背後から忍び寄る恐怖
いつもゆかいな弊社の休憩室で、ぼさーっと後輩君とテレビを見る。
と、こんなコマーシャルが流れた。
「若いときは髪がふさふさだったんだけど、だんだん後頭部が寂しくなってきて。そんなとき、この整髪料を付けて、うんぬんかんぬん」
あー。
なんかさー、いま、自分はまあ、髪がキチンと生えてるけど、いつのまにやら知らぬ間に、てっぺんあたりから薄くなってくることって、あるわけでしょう?
「まあ、あるかもしれませんね」
でもそういう時ってさぁ、最初は自覚症状はないわけじゃん? 見えないんだし。
「自分で触って『うわっ、ハゲてるうっ!?』って自覚するときって、けっこう症状が進んでるんじゃないかと思いますよね…」
でさぁ、自分ではハゲてると思ってないんだけど、周りの人が見ると「あの人、薄くなってきてる…」ってわかっちゃう時があるわけじゃん? で、そういうときって、たぶん誰も教えてくれないわけじゃん?
「『最近ハゲてきましたね!』なんて、口が裂けても言えないですよねぇ」
だから自分で気がつくしかないと思うんだけど、後頭部は自分じゃ見えないからさぁ。で、なんとなくこうやって頭に手をやって、確認しちゃったりなんかして。
「ハハハ。大丈夫ですよ」
そう? 良かった。
「今はまだ大丈夫ですよ」
あー! 「今はまだ」って!
なんか心配だなー。うちは親戚一同ハゲまくってるからなぁ…。やだなぁ、やだなぁ…。
「心配してストレスがたまると、ハゲちゃいますよ」
あー! もう!
あー!! もう!!!!