ーOOO-お花見だんだん
なんか今年はお花見づいているワタクシです。
ココ何回かはオープンカーであちこちお花見をしてきましたよ。
屋根を開けて走ると、花びらがふわんふわんと舞い散って、クルマの中にどはどはっと飛び込んでくるので、大変気持ちがよろしいワケです。
そんでもって、通りすがりのコドモに「わー! かあっこいー!」とか言われるのは気持ちが良いわけです。
んが。
直射日光が容赦なく注ぎ込んでくるので、暑いわ日焼けしまくりだわ排気ガスで顔はススけるわで、結構大変です。
オープンカーに乗るのは、ヤセ我慢なワケなのです。
で、、今度は逆にのんびりと、夜桜を見物したくなったワタクシ。
ちょっとビールを飲んで、ほろ酔い気分で桜を眺める… ああ、ええのう。
んで、場所を選定するにあたって、コンビニでお出かけ系雑誌をいくつか立ち読み。
うわー、東京にこんなにたくさん桜の名所があったとは…。
あれこれ読み比べて場所を選びながら、プロのカメラマンさんによる見事にライトアップされた桜の美しい写真の数々を堪能しました。こーいうのって、自分で現場に行ってもあんなに綺麗には見えないモノだろうなー。
ページを行きつ戻りつしているウチに、ワタシは夜桜を十分に満喫。
というか、桜に当てられて、のぼせたような感じになる。あっちのスポットがいいような、こっちはもっと素晴らしいような…。うーん、どこに行けば良いんだろう?
すっかり煮詰まってしまって、冷静でなくなったワタシがひらめいたお花見が、
「墓地で花見」
なのであった。
墓地で花見をするメリットは、どんちゃん騒ぎで宴会をやってるバカはいないということ(多分)。
あと、閉園時間を気にしなくて良いというコト。たとえば新宿御苑なんかだと、16時半で閉園になっちゃう。これではいくら美しくとも、夜桜見物は不可能です。
デメリットは、桜がライトアップされていないと言うこと。だって、お祭り会場じゃなくて、墓地だしねぇ。まあ、人魂が出たらぼんやり明るくなるけどね。
そして、墓地で花見をするのは、やっぱりどこか不謹慎な気がする、ということだろう。
で、いろいろ悩んだんですが、日暮里駅の西にある「谷中墓地」というところで夜桜見物をすることにしました。
谷中墓地というのは桜が約200本あります。これは青山霊園よりも桜が多く、六本木ヒルズと赤坂ミッドタウンの桜を足した本数よりも多いので、そこそこ良い感じの桜並木ではないかと思えました。
谷中墓地のすぐ近くには上野公園があるのですが、そことはちがって節度あるしっとりとしたお花見が楽しめるのでは? そんな予感が。
そしてこの日はほぼ満月だったので、お月見も可能。
ほんでもって、谷中という街にはネコが多い。それも人なつっこいヤツが多いと聞きました。目抜き通りの「夕焼けだんだん」と呼ばれる階段坂は、多くのネコが出没する絶好の癒されスポットと化している、というお話。
ネコは夜行性らしいので、暖かい夜なら多数のネコに出会えそう。
参考)@nifty:デイリーポータルZ:オープン猫カフェはじめました ■三店目「谷中霊園」
夜桜見物。そしてお月見。さらにネコを愛でる。
これだっ!
オレの目指す、オトナの理想の穴場的夜桜見物とは、コレではないかっ!?
ということで、ワタシは夜の7時に日暮里駅に降り立った。
がらーん。
意外にさびしい駅前。
…あれっ!? ヤバい!? いきなり超不安!
不安さを打ち消すために、とりあえずコンビニでビールを買って、「夕焼けだんだん」に行ってみます。
しーん。
意外にネコがいない…。
昼間と違って、寒いしね…。ネコが出る気温じゃないかも…。
と、一匹、いた!
三毛猫が手と足を身体の下に隠して、首をうずめてまんまるになって(←ネコが寒がってるポーズ)、こっちのほうをめんどくさそうに眺めています。
とりあえず近づいてスキンシップ。なでまくりましたがイヤがりもせず、逃げる気配もありません。
ネコをモフモフしていると幸せで、本来の目的を忘れそうになりますが、谷中霊園で夜桜見物をするのだ! ということを思い出して、泣く泣くお別れ。
谷中霊園に一歩足を踏み入れる。
ああっ!?
この風景は…
墓地だ!
非常に当たり前のことなのだが、桜の名所とはいえ、やはり墓地は墓地!
肌寒い夜に、薄暗い墓地の中をトボトボと、ビールの入ったコンビニ袋を片手に歩く、腐れ中年男。
コレは、ダメじゃネェか?
いまオレは、かなりダメなんじゃネェのか?
ヒトとして。
桜を眺める道すがら、谷中霊園は有名人のお墓が多いというので、それとなく墓石を確認しながら歩きました。でもいちいち解説や標識があるわけじゃなし、どの墓が誰なんだかわかりません。
というか、お墓に入るときは芸名やペンネームじゃなくて、本名でお墓に入るものだ。だから、全く予習なしでお墓をでチラッと見て「あれは誰々のお墓だなぁ」とは分からないものなのだった。
日暮里から上野まで、山手線で3駅分の広さにわたる谷中霊園。
あまりにも広大な墓地の中央部分には派出所があって、そのそばの小さな公園では3組くらいのグループが花見をしていました。
ああ、この墓地に、自分の他にも花見をしている人がいた!
ようやくホッとしました。
で、その公園のすみっこのベンチに腰をおろして、お花見をしました。
散り際の桜は、ちょっとと風が吹くだけで花びらがこぼれてきます。持ってきた缶ビールを飲み、草だんごを食べながら、薄暗い公園で花の散るのを眺めました。
墓地でお花見をするのはやっぱりまちがってるし、ちっともくつろげない。
でもとびきり変わった体験をしているのは間違いないし、桜の花は確かに綺麗だなぁ。
そんな矛盾したような、変な気持ちになりながら桜の木を見つめました。
やっぱり花見のにぎやかさが恋しくなったので上野公園に行こうと思ったんだけど、迷子になってしまったので、すぐ近くだと知りつつタクシーを拾いました。
んで道すがらタクシーの運転手さんに
「谷中霊園で花見をしたけど、やっぱりさびしいから上野公園に行こうと思って」
みたいな話をしたら、
「うーん、そうねぇ。青山墓地だと、みんなお花見やっててにぎやかなんですよ。っていうのは、あのへんには桜の名所がないから。だから、あの辺の会社のヒトとかはあの辺に行くしかないから、墓地でお花見やってるんですよ。」
あー! なるへそー!
「でもねぇ、この辺はホラ、なんといっても上野公園があるから。あれだけの名所があって、わざわざ墓地で花見っていうのは、やっぱりなんか変わってるって言うか、何もそんなコトしなくてもっていうか」
あー、そうですよねぇ…。!
わざわざやらなくていいような、あるいは他人がやらないような変わったことを無理にやって、「穴場だ!」みたいなことを思いこむのは止めておきたい…と反省した。
でも、しょうこりもなくまた何かやります。
っていうか、やらかしちゃうんだろうなぁ、自分。