ーOOO-花王メリーズの使い心地を、オレがこの手で確かめる…ッ!

 最新鋭のハイテクをフル装備した紙おむつ・花王メリーズは、現在紙おむつのトップシェアを誇っている。
 その基本性能であるところの吸水性に関しては、もはや向かうところ敵無し。よって、目下の開発目標はユーザビリティの向上にある…。前回のレポートでは以上の点についてお伝えした。
 では実際に、紙おむつのユーザビリティの向上はどのように図られているのか?
 花王メリーズの使い心地を、オレがこの手で確かめる…ッ!
 赤ちゃんと、家族の笑顔のために…ッ!
  
 っつーことで、前回の記事に引き続いて、実際に発売当初の花王メリーズと最新のメリーズを並べたりして、あらゆる角度から比較してみたですよ。
 紙おむつには18種類くらいのさまざまな素材が複合的に使われています。
 また新素材の開発だけでなく、形状・デザイン面に関してもさまざまな試みが行われているのです。

 何がどのように変わったのか? どのように進化したのか?
 そういった部分を、この手で実際に試してみました。

*1 締め付けない! そして蒸れない! 空気トンネルのギャザー

 
 なんだこりゃ? という感じのくしゃくしゃしたモノがありますが、これはメリーズのギャザー部分と同じ素材で出来た腕輪です。
 左側の短いモノが新開発ギャザー、右側の長いものがそれ以前のギャザーです。
 このように側面から見るとどうでしょう?
 左側の新開発ギャザーは見るからにふっくらしています。


 そのハイテクッぷりをこの手で確かめるべく、腕にはめてみました。
 下が新開発ギャザー、上の手首側が従来のギャザーです。
 広がり具合、ゴムの伸び具合はほぼ同一なのですが、締めつけ感が違います。

 1時間たってから、外してみました。
 左が新開発ギャザー、右が従来のギャザーです。
 右側の皮膚は、締め付けられて赤くなっています。
 最初の締めつけ感の印象が間違っていなかったことがわかります。

 この違いは、ゴムと紙(不織布?)の部分の接着の工夫によるものです。
 上の写真をもうちょっと注目してみてください。
 右側の従来のギャザーは、ゴムと不織布を接着してあります。
 左側の新開発ギャザーは、この全面接着をやめました。
 接着はギャザーの両端だけ。
 それ以外の部分は、点状に熱溶着(シール)してくっつけてあります。
 このシールの幅などを上手く工夫することで、肌を締め付けないふわふわしたギャザーが生まれました。

 このふわふわしたギャザーは同時に、通気性の高さをもたらしました。
 ゴムでぴったりと肌に密着した従来のギャザーと比べ、このギャザーはゴムと直行する方向に空気の流れをもたらします。
 新開発ギャザーはふわふわとして締めつけ感が弱く、肌に優しい。それだけでなく、おむつの内部の湿気を逃がすトンネルとしても役立っている、ということです。

*2 水が漏れない! なのに蒸れない! 魔法の透湿シート

  
 紙おむつの表面は、上のような透湿シートと呼ばれるモノで覆われています。
 オムツの構造を簡単に説明すると、水分を吸収するポリマーを、赤ちゃんの肌に触れる部分のシートと、おむつの外側を透湿シートでサンドイッチしてあります。
 赤ちゃんは汗っかきですから、おむつの中は常に湿度を低く保ってサラッとさせておきたいものです。
 このため、おむつの外側のシートは透湿シートで覆われています。
 この透湿シートは、水蒸気は通すけれど、水は通さないという構造になっています。

 ということで、透湿シートの性能を実験で見てみましょう。

 ガラスの実験器具の間に、透湿シートを挟み込みます。

 ここで水をたっぷりと注いでみましょう…。

 ほら、まったく下に水が漏れてきませんね?
 …って、これだけならキッチンのビニールラップにだって出来るじゃーん、とか思ってませんか?

 透湿シートがひと味違うのは、ここからです。
 下から空気を吹き込んでやると、その空気が透湿シートをどんどん通り抜けていきます。

 透湿シートに穴があいているから空気が通り抜けていく。だけど、穴が開いているのに水は通り抜けていかない…これってどんな仕組みなんでしょう?
 その秘密は、絶妙な穴の大きさにありました。
  
 水蒸気の大きさをサッカーボールにたとえるならば、透湿シートの穴の大きさはサッカーのスタジアムくらい、そして水滴の大きさは神奈川県の半分くらい、ということだったのです。
 ミクロの世界ですが、ずいぶんと大きさが違うモノなのですね。


 さて、透湿シートの性能も、ワタシがこの手で確かめてみましたよ。
 左側の白いのが透湿シートの手袋。右側が普通のビニール手袋です。

 ビニール手袋を1時間していると、もう中は汗でしっとりと湿っています。
 ビニールに水がくっついて、水玉が出来ているほどです。

 ところがこの透湿シートの手袋は、全くそんなことがない。
 何しろ白いので、見た目で判断していただくわけにはいかないんですが。
 中はサラッとしていて、手袋が張り付くことがありません。

 それから中に湿気がこもらないために、手の不快さが違います。
 ビニール手袋をしていると自分の汗が蒸発するのでどんどん湿度が高くなり、蒸れてきます。そうなるとますます汗が出てきて不愉快です。
 しかし透湿シートの手袋は、湿気がこもらないのでサラッとしている。この違いはかなり大きいです。


 ところでワタシは食品に携わる仕事をしているため、よくビニール手袋をはめて仕事をしています。これって手袋の中が蒸れて不愉快で大変なんですね。
 だけどこの手袋はそんなことがない。
 いや、これ、夢のような手袋だな!
 で、ちょっと尋ねてみたんですが、残念ながら市販の予定はないんだとか。まあ考えてみれば穴があるわけだから、細菌とかウイルスとか通すとマスいですもんね。


 あと、この透湿シートをつかった使い捨てのレインコートなんかいいんじゃないかと思うんですけど、どうでしょうか?
 雨の日の自転車通勤で、こんなに軽くて湿度がこもらないレインコートがあったら素敵だな-と思うんですけど。いかがでしょうか? >花王さん.


 メリーズの話に戻りますね。
 で、こういうふうに微妙で繊細な穴の開いている防湿シート。
 参加者の方が「じゃあ、表面に印刷をすると、せっかくの細かい穴がふさがってしまうんじゃないですか?」
 と、花王さんが
「そうなんです! で、それを解決するために、これをちょっとよく見てくださいね」

「こんなふうに、模様の大部分はメッシュ状に、細かい点で印刷がしてあるんです。
 これによって、なるべく通気性を損なわないようにしてあるんですね」

次回予告

 ということで今回はここまでです。
 次回もこの手でアレコレ確かめながら、花王メリーズのものづくりの秘密に迫っていきたいとおもいますです。

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*1:締め付けない! そして蒸れない! 空気トンネルのギャザー

*2:水が漏れない! なのに蒸れない! 魔法の透湿シート