ーOOO-世界の4人に1人は、電気のない生活を送っている
こうしてインターネットや携帯電話を毎日のように使っている私たちですが、しかし世界の4人に1人は、いまでも電気の全く使えない生活を送っているのです。
eneloopなどの製品でおなじみのSANYOさんは、そういった電気のない生活を送っている無電化地域の人たちを支援する試みをはじめたということです。
それはいったいなぜなのか?
そして、支援はどのように行われるのか?
実際に行われた取り組みに関するレポートをお送りします。
事の起こりは2006年10月、ウガンダの副大統領がSANYOの大規模太陽光発電施設「ソーラーアーク」を見学したことに始まります。
その数日後、副大統領からSANYOに一通の手紙が届きます。
その手紙には、ウガンダの電力事情と、太陽光発電の必要性が切々と綴られていました。
ウガンダの電化率はとても低く、都市部でも20%、地方部ではわずかに4%なのだそうです。
電化といっても水力発電が主なので、乾期になると水が足りないために発電量が足りなくなり、計画的に1日数回の停電が起こるそうです。
電気の無い村ではケロシンランプを灯りに用います。
アルコールランプのような形で、灯油を燃やしているようなランプです。ガラスで覆ってあるわけでもなく、燃やせば黒い煙とススが出ます。火事も心配ですし、健康被害も心配です。
SANYOさんは、「エネループの輪に入ろう!」というキャンペーンを立ち上げました。
サイトに登録した人たちが様々な活動をすることでポイントが溜まり、みんなで集めたポイントが10万ポイントを超えたら、250個のeneloopランタンを寄贈しよう、というプロジェクトです。
ここで用意されたのが、eneloopランタンです。
上の写真にあるように、太陽電池と充電式LEDランタンのセットです。無電化地域でも手軽に使用できます。
LEDには低消費電力、長寿命というメリットのほかに、「通常のランプに比べると虫が寄って来ない」というメリットがあるとか。(防虫効果があるという意味ではありません)
6時間充電するとHIモードで6時間、LOモードで20時間点灯することが可能です。
とても明るいランタンですが、じつはLEDは2個しか使われていません。スイッチは1個。シンプルな構造です。
また、周囲のプラスチック部分は通常の2倍ほどの厚みがあって、とても丈夫です。
さらに防水性にも気を配ってあるそうで、過酷な状況でもメンテナンスフリーを目指しています。
さきほど紹介した「エネループの輪に入ろう」というサイトではとうとう10万ポイントを達成し、昨日 … 2009年9月14日に、eneloopランタンを250個贈呈しました。
贈呈式には、この企画の発端となったウガンダの副大統領も出席しました(写真中央)。
そして、中学校にはあふれんばかりの人、人、人。
村中の人たちがみんな、手に手にケロシンランプを持って、この贈呈式を見に来たのです。
ウガンダの現状を視察してきた映画監督の井上春生さんは、こんなことを言いました。
「ウガンダはエイズのために大人たちが死んでいき、子供たちはやむなく働きに出なければなりません。
朝早く働きに出て、夜は電気がないので真っ暗になり、寝るしかありません。」
「しかし、街角でeneloopランタンをつけると、その明るさに人だかりができる。5人だったものが10人、20人になってゆく。
最後には村の子供たちが全部集まってきた。」
「普段は昼働いて夜は寝るだけなので、子供たちの間には横のつながりがない。
しかし、明かりがともると人の輪ができる。
明かりがともるということに「物理的にどうのこうの」ということではなくて、「人の輪ができる」という暖かさが紡ぎ出されていくのを感じました」